この俺「フン……ここがミッドガルドか……」
加納佑成
第1話 この俺の冒険の始まり
令和300年 !
日本合衆国、ネオセンダイ!
この俺は超高層マンション(地上40階)の自室で、優雅に最高級ケミカル赤ワインを飲んでいた。この俺の自室は重要文化財東京ドーム0,1個分くらいの広さで、その全てにバイオ虎絨毯(最新のバイオ技術で単体で合成された虎皮を絨毯にしたもの)が敷き詰めてある。そしてこの俺の今座っているソファはどんな不眠症の人間でも2秒で眠ると言われている超絶究極ふわふわソファだし、着ているものはなんか映画とかで邪悪な金持ちがよく着ているバスローブみたいなやつだ。膝の上にはゲレゲレ(雑種猫。三歳。子猫のときに超高層マンションの前にチタン製ダンボール箱に入れられて捨てられていたのを拾った)を乗せて、たまに撫でている。
そこへバーチャルスマホに着信があった。ゲレゲレがニ゛ャーなどと言ってこの俺の膝から降りる。この俺はため息(風速30m、ラベンダーの香り)をついてバーチャルコンソールの受信ボタンを押した。
「この俺だ」
「あっ旦那!た、大変でゲス〜!とんでもない情報が手に入ったでゲスよ〜旦那だけに教える内緒の情報でゲス〜!」
「落ち着け、情報屋のゲスオよ。どんな情報が入ったというのだ」
「続きを聞くには100万ステイツ円になりますでゲス」
こいつの名前はゲスオ。見ての通り胡散臭い奴だ。裏の社会に通じた金にがめつい小悪党だが、意外にもこいつの持って来る情報は役に立つ……こともある。
「振り込んだぞ。さっさと話せ。これでくだらん情報だったら牛裂きの刑だぞ」
「ちいとばかり罰が重過ぎませんか旦那。でも安心してくだせえでゲス。今回はほんとにとんでもない情報でゲスよ。あのですね旦那、驚かないでくださいよ。異世界の扉が開いたんでゲスよ。どこにだと思います?」
「それがどうした。確かに珍しいが、凄腕のトレジャーハンターであるこの俺にとっては何度も聞いた話だ。人里離れたところで発生し中から化け物が出てきて、そいつを倒しても異世界の扉の中には入れず、数時間後に消えるというのがお決まりのパターンだろう。どこに開いたというのだ」
「それがでゲスね」
どうも旦那の家の中に発生しているっぽいんでゲスよ。
ふと気づくと、この俺のすぐ横に不思議なフィールドが発生していた。直径4mほどの同心円状のフィールドで、薄緑色の液体が充満したパイプで囲まれている。乳白色の輝きに満たされて、先は見通せない。
ゲレゲレがニ゛ャーと叫ぶ。その声だけが耳に残った。この俺の身体が光の粒子に分解されていく気がした。
この俺はフィールドに飲み込まれた。
この俺「フン……ここがミッドガルドか……」 加納佑成 @awcyfollower001
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