第3話 暴走族

暴走族


本日は忙しい日曜日。

スーパーで勤務した事のある方なら、わかると思いますが日曜日は多忙を極めます。

そして、今日の様に公休日を挟んだ連休になると店内はごった返した状態になります。

さて、今日も一日お給料のために頑張りますか。


店内に流れるオルゴール音に似合わないゴォーーと言う音が響いてきました。

あれはお買い物カートを暴走させてる音ですね。


当店で使っているカートは、ある速度以上でると音が出る仕組みになっているらしいのですが、末端パートにはカートの詳しい情報は全く分かりません。

これも安全対策の一つのようです。


やはり、お菓子コーナーからカートが飛び出してきました。

どうやらお子様が暴走してるようです。

手押しハンドルの部分から頭がちょこんと見えてます。


「あれ?優希くん1人?ママは?」

常連の暴走族、優希くん5歳に聞いてみると、

「こんにちは。ママ、お魚とお野菜見てくるって言ってたからママの所にいくところだよー」


ニコニコと人見知りもせず挨拶も上手な優希くん。

でも、騙されちゃいけません。彼は暴走族なのです。なぜならカート暴走常習犯なのですから。


「優希くん、危ないからカートはゆっくりと押してね。走っちゃダメよ?」


目線を合わせて声をかけると

「うん。ゆっくり走るよ。またねー」と

キラキラな笑顔を振り撒きながら徐々にスピードを上げていく優希くん。

他のお客様や角などにぶつかりません様にと祈りながら小さな溜め息をこぼしてしまいました。


気を取り直して、お仕事の続きをいたしましょう。

さて、バックヤードから特売の商品を持ってきますか。


そう考えてバックヤードに行くと、ゴオォォーーと

先程より大きな音が響いたので、思わず避けました。

すると、そこには大量に箱を積んだ主任が暴走しています。


「主任、危ないからスピード落としてください。間違っても店内では走らないでくださいよ?」


「大丈夫だよ。これお菓子だから痛くないし。他に何もないなら時間足りないし、僕行くねー」

ニコニコ笑顔で主任が去っていってしまいました。


あれ?店内を走る行為は社則違反ですよね。

この件はお客様の安全の為に店長に相談しておきましょう!

しかも主任、あなたもうすぐ40なんだから落ち着いてください。


店内で1番の暴走族は主任でした……


皆さまは、ご自身と周りの方の安全の為に店内を走らない様に、お気をつけくださいませ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る