Journeys 《Design》-ver,β

《私の理想は、完結旅行の連続による永続旅行の成立である》


 自分を極限まで薄めるのか、はたまた何かを探しに行くのか。いずれにせよ明らかなことは、種々の世界の広さ(この言葉の解釈は各々に任せる)への期待と逸脱による本質的な刺激を求めていることである。そうして訪れる未来と作り出される過去の両方が、無鉄砲に、飄々と歩んでいる“今”として混在することの壮大さ、そしてその美しさが、我々の進むべき道、否、“未知”というべきだろうか、それらを示しているようにさえ感じられる。これこそが、永続旅行への道標となるのだろうか。しかし、1つ確かなこととして、今歩んでいるその“旅”に真摯に向き合い、己のもつ感性すべてを総動員して、流れる時に思いを馳せ、無鉄砲な“今”を享受し、気の赴くまま飄々と“次”へ向かうことが、完結旅行、永続旅行の双方をより良いものにするために必要であると考える。


 このことが示すように、旅の意義の1つとして「ノスタルジーとディスカバリーの創生」があると自分は感じている。これは上記の通り、旅によってもたらされる“新たな世界”(これも上記と同じく解釈は各々に任せる)を自己が様々なプロセスを経て享受することにより構築されるものであり、それらが時間発展とともに何らかの媒体(最終的には脳の記憶領域)へ記録されることで「ノスタルジーとディスカバリーの創生」という一見相対する事象が1つの事象の集合内で成立すると考える。ここでの結論としては、未来への展望が美しい過去を作る。これも1つの事実と言えるのではないか、と言うことである。

 しかし、これを共有するとなると厄介なのが「空気感」である。いかにして、美しい未来への展望と哀愁をまとめ上げて共有したとしても、当者の旅における事象の伝えたいこと、そしてその周りの事象やそこに至るまでのプロセス、言い換えてしまえば、当時の“全て”に何らかの欠落が生じていれば、本来他者へ伝わるべきその旅の美しさ、素晴らしさは半減どころか8割減である。そして、悲しいことに、これらを完璧に復元することは不可能であり、これが現状の我々の課題であるとも言えよう。

 しかしそうは言っても技術的にはまだ不可能であるので、この“喪失”に対しての捉え方や価値の変換を行っていく必要があると思われる。

 これは余談ではあるが、自分が思うに、旅とは未来への展望を作りだす行為でありながらも、旅そのものが未来への展望として機能する(これは旅がもたしてくれる本質的な刺激、及び完結旅行内でのディスカバリーによるものであると推測している)ものであり、自分が完結旅行の連続による永続旅行の成立を欲している要因として、凄惨な過去から乖離して、常に希望や展望に心を奪われる、すなわち、過去を忘れるために、希望に没頭するという行為、欲求によるものであると現状は分析している(がしかし、これらの行為、欲求はあまり良いものではなく、本文や他idの下流にて示された、または今後記していくであろう自分の直近の方針や執筆における目標としての《過去との融和》及び美学である《調和》に大きく反するものであるので、追々何らかのテコ入れをしていきたい)。そして行く行くは、《過去と融和した永続旅行》を目指していきたい。


 旅における「極限まで自分を薄める」という表現についてはまたいつか、この表現の発端となった2023-3-n{11<n<14}でのWB:SB機関情報処理部の体験とそのインタビュー、評論を交えながら記述していきたい。


 先日のDFフィードバックの際、機関情報処理部より頂いた言葉を引用すると

「人生自体が永続旅行だから旅行そのものは完結した上で人生にフィードバックしていくのが望ましいとされている」ということであり、このことは私の旅行論の視点について、良い変革をもたらしてくれた。次回の機関の現世での討議会では、これらの情報と更なる旅行論の精査を行うとともに、我々の今後の方針について議論を進めていきたい所存である。――メイドクター(仮称)


 経験とは劇物である。しかし、地獄の底、混沌の果てに生まれ、そうして生きてきた自分、我々は、たとえいかなる毒だったとしても、それらを主食にしてしまうのである。それほどまでに、飢えているのである。

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