第30話 総進撃
『クロウリー、テメェの最大術式をぶつけろ。時間稼ぎする』
『し、しかし、こんな状況、持ち合わせが・・・』
『手持ちで十分。全力で行け』
俺はそういうなり、ピースメーカー早撃ちで全弾ブチ込んだ。
ま、出し惜しみ無しとかいいながら、他に使えるもんがありゃ使う主義なんでね。節約は大切よ。
玄女はすかさず地面に札を貼る。
『土人形』
すると地面から土が盛り上がり二体の人型になって、元メタモンに向かって突進していった。
俺の銃弾は見事に防がれた。
これは春日の拒絶の能力に似てる。術じゃないのか?
玄女の土人形ゴーレムはあっという間に爆散した。その隙に、元メタモンの背後から玄女が襲い掛かる。
『剣指破邪!』
人差し指と中指を揃えて立て、それを剣のようにして切り掛かる。元メタモンは振り返って右腕を大きく払うと、玄女は突風に晒されたように後方に吹き飛ばされた。
玄女を相手にしている元メタモンに、俺は再度銃弾をブチ込んだが、それにも反応して、左手を突き出し、銃弾を防ぐ態勢をとってきた。
しかし弾丸は奴の思惑通りには止まらず、左手の掌、脇腹に命中した。
さっきとは銃を替えたんだよ。これは銃身に結界対応の術式が施されている。防御の術どころか、拒絶の異能みたいな、事象に直接働きかける力すら貫通無効にする特別製だ。
ま、結界専用だからな、物理的に防がれたら意味無いんだけど。
一瞬被弾したことに驚いた表情を見せたが、まったく怯むこと無く思いっきり蹴りを入れてきた。
防御の術なんて無視したような衝撃で、俺は蹴り飛ばされ、ガードした左腕の骨が折れた。
クソ痛ぇ。
ついでに電柱に激突して背中をしこたま打ち、しかも木製の電柱が折れて倒壊した。背骨が折れなかっただけが助けだ。
電線から飛び散る火花。
そんな中、クロウリーが広げたスクロールが銀色の鎖に変化した。
『封縛の神鎖!』
銀鎖は大蛇のように元メタモンへ襲い掛かり、その身を縛り上げた。
『悪魔に憑依された人間を倒すのは難しい。最善の方法は封じ込めることです』
クロウリーがいった。
俺は痛む体に鞭打って立ち上がり、クロウリーの側に寄った。
電柱が破壊されたので灯りが消えた中、銀色の鎖がぼんやりと光り、束縛され立ち尽くす元メタモンを闇に浮かび上がらせている。
『やったのか?』
『・・・いや、この術では抑えきれない』
途端に銀の鎖が引き千切られ、飛び散った。
『だからいったんだ。手持ちの術では足りないと・・・。ちゃんと準備していれば』
これで、フリダシしに戻る、か。
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