第16話 クリスの選択と気持ち

何が起きたのかわからずパチクリしているとクリスはジッと私を見て言った。


「…エレアセカンド…当然知ってるよな…」


「え?…な、何を?」


「だって君は僕の作品のファンだ。


本編では最後の魔王を倒して邪神が復活する前に主人公とヒロイン…王女と聖女の2人とその…小説版クリスは…子供を作るよね。


書ききれなかったが、

最後の邪神を倒したらクリスは半身を失うけど、エンディングでは2人の子供達と妻達と幸せに暮らすって言う未来がある」

と言い、私は慌てた。えっ、そうなの!?


王女と聖女の2人がクリスに気があり、旅の途中2人は必死にクリスにアピールして気を引こうとしている定番ラブコメ展開は読んだけど、最後の魔王を倒す前にそんな展開が来るなんて!!


「…あ、そ、その、私は!小説版のクリスが王女と聖女の子供を作るとか、そこまで読み進む前に亡くなったから…。


あの、し、知らなくてごめんなさい…」

とオロオロ目線を逸らすとクリスは


「えっ……そ、そうなのか!?読んでなかった?」


「う、うん…。ごめんなさい」

と一応謝っておいたけどクリスは


「そ、そうか…。で、でも。そういうことなんだ!この先、闇の勇者を倒すと結局邪神が復活するだろ!?


そうしたら僕は同じことになるんだ!」


あっ!確かに!邪神と戦うということはクリスは片方の手足を失うことになる…のかな。



「つ、つまり…エレアセカンドと…そのどうしても、こ、こここここ、子供を作るようなことしなくちゃいけないんだ…!!」

とクリスは赤くなり何か私をギラギラした目で見ている!!


ひっひいいいい!!


クリスはいつの間にか私を床ドンしてその体制のまま話した。というかエレアセカンドとか言うのもやめてほしいけど。


「……この数日、どうしようか考えてたんだ!!エレアセカンドが闇の勇者戦を挑むなら、結局は僕の子供を宿さないと…僕は半身を失っても幸せにはなれないし!」


「で、でも!む、無理に子供なんて作らなくてもいいんじゃない、?


ほ、ほら!戦いが終わるとクリスには他に好きな女の子ができてるかも??

それに私は偽物やセカンドなんだから!!クリスの言う理想のエレアじゃないから…、無理矢理そんなことする必要ないわ!!」

と言うがクリスは


「……この数日、君を見てたけど、僕はやはり君には弱い!偽物だけど、理想とは違う君もなんか気になるし、ドキドキする!


どうやら僕はき、君のことが…好きらしい」

と告白される!


「ええ!?そ、それはほら!し、習慣化されたからじゃない!?い、今までと同じように…クリスは理想のエレアと私を重ねてるだけの勘違いだと思うわ?」

と何とか逃れようとするけど久々私の手足が魔法の鎖で床にガチっとハマってしまった!!


ええええええ!!!?


「ちょ、クリス!!」


「だ、大丈夫…。き、今日は…キスだけしよう……。だ、段々慣らしていけばいい」

とか言ってるし!!


「ちょ、ちょっと待って!クリス!!わ、私の気持ちを無視するのやめてほしいんだけど!!?」

と、とうとう言うとクリスは


「君こそ!僕の気持ちを無視するのはやめてほしい!!」


「えええ!?」

とまさかの返しに驚くとクリスは


「君は僕が転生者と知りながら黙ってたし、昔の僕の告白やらアプローチに何も感じなかったの?


昔の僕のそれは、もちろん理想のエレアに対してかもしれないけど、い、いい、今は違うよ!



この数日で、違うエレアのことも見たよ。すぐ怒るし嫌がるし、僕のことを何とも思ってないかもしれないけど…僕は惹かれたんだ!


それに…!」


「そ、それに?」

とビクビクして聞くとクリスは


「あの日、湖で君の…全裸見ちゃったから!!責任を取らないと!」

と赤くなり、目を瞑り顔を恥ずかしさで隠すクリス!!

いや、恥ずかしいのこっちだし、そんなこと忘れてほしいんだけど!!?


「例え君が理想のエレアじゃなくても君の全てを知る男は僕以外ダメだって思った!!」


「ええ!?ちょっと何言ってるかわかんないんだけど!?とりあえず落ち着いてよ!クリス!?」

クリスはもはやハアハア言ってる!怖い!このままでは私、クリスの餌食じゃない!!


「大丈夫だから!キスをしたら鎖を解くから!!ねっ!?い、一度してみよう!」

とクリスが私にキスしようと迫ってきた!!


ひいいいいい!!も、もうダメー!!

と思っていたら


『クリス!遅くなってすまんの…!や、やっと闇の精霊王と話ができた…』

となんかちょっとボロボロになった光の精霊王であるレギオン王が現れ、この状況を見て、空気が凍りついた。


クリスは


「いいところに戻ってくんじゃねーよ!!クソじじいがっ!」

とレギオン王を思い切りぶっ飛ばして身体を回転させながらレギオン王は横壁にめり込んだ!!


「レギオン王ーーーーー!!!」

と私は叫んだ。

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