第6話 再会

「お疲れ様で~す」


 放課後になって下駄箱に向かう途中にあほの子に話しかけられた。


「なんだよ、ピーチちゃん」


「ピーチちゃんじゃないですよ!」


「ももちゃんです」


 あざといこの子の制服姿を二パターン見ることになったが、正直こっちの方が似合っている。


 喫茶店のバイトの制服姿に高校の制服姿が勝ってしまっているのはおかしい気がする。


 しかしそんなことは大トロより中トロのほうがうまいみたいなどうでもいいことだと気づいた。


「先輩は一人ですか?」


「一緒に帰りましょーよ!」


 そう誘われたこともあったが今日の報告もしなきゃならなかったので一緒に帰ることにした。


「ちゃんと珠姉に話しかけました?」


「うん」


「あいつからしたら僕とは初対面だったらしいけどね」


「珠姉らしいね」


「先輩割と顔いけてるのに学校じゃボッチなんですね」


「なんであいつが僕のことを初めて知ったっていう情報だけで僕がボッチだってわかるんだよ」


「だって珠姉みんなの人気者だよ?」


「クラスの人とはある程度コミュニケーションとってるはずだもん」


 直接話さなくても友達がいたら横のつながりができるってことか?


 そらそうか、こいつが正しいな。


「そんなことはいいんだけど、なんで僕に話しかけさせたんだよ」


「それこそ僕みたいなボッチに」


「先輩は馬鹿ですか?」


「先輩と違って珠姉が人間関係に困っているわけないでしょ」


「けどね」


「男友達だけはいないんだよ」


 いわれてみればそうかもしれない。


 彼女の周りにはいつもたくさんの女生徒がいる。


 その中には男連中はいない。


 彼女は美しすぎるんだ。


 好かれるとか嫌われるとかいう次元じゃない。


 女子は擦り寄り男子は羨望のまなざしを向ける。


 そんな国民的スターのような女であるから男友達がいないことに気づかなかった。


 なんだって?


 どんなスターでも嫌ってる人はいるってか?


 おいおい、そんなの目の前にいないからそんなこと言えるだけだろうよ。


 学校に芸能人が来たらそいつがどんな奴でもテンション上がるだろ。


「確かにそうかもしれない」


「何でも持っているやつと思ってたけどそういうやつに限って誰もが持ってるようなものを持ってないんだな」


「そうだよ」


「そして一回も話したことのない先輩みたいな人たちから告白されたりするんだよ」


 最悪だな


「告白される側からしたらお前誰だって感じだな」


 ひょっとするとアイドルとかも同じ気持ちかもしれない。


 それなら今回の場合はどうやったらアイドルと付き合えるか考えていきたい。


 それがあの女とかかわっていく上での最終的な目標かもしれない。



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