第2話 コート革命

 サマーコートが大流行となった夏からの出来事だった。


着るエアコンとでも呼べる布が出来て、夏だからと言って薄着するより、特殊な繊維で出来たコートを羽織った方が圧倒的に涼しいのだ。


 夏が終わっても特殊な繊維で出来たコートの流行は終わらなかった。これさえ着ていれば一日の寒暖差も全然問題にならない。

 このコートは冬の寒さにも対応出来るので人々は手放さなかった。


「昔はコートで下の服装を誤魔化せたのは冬だけだったのにね」

「今は下に何を着るか悩まないでいいね」


 そう、最早、コートの下には下着と簡単なズボンを穿くだけで済まされることが多くなった。そのズボンも省略されていって、コートとの相性で靴下や靴が発達した。


 私はある日、シャワーを浴びた後、何も着ていない状態で急な来客があって、下着も着ないでコートだけ羽織って対応して、それで何の問題もないのに気づいた。


 そう、みんな気づいてしまった。コートさえ羽織れば下着など必要なく、室内のエアコンも強く調節する必要はなく、とってもエコだということに。


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