第25話 白羽の矢は何処へ

「あのなぁ、ゆら兄の思うことは何も無かったですよ?」

不知火斑雪しらぬいふゆきって子かな。けっこうおもしろい経歴と性格をお持ちの様だね」


「──……!?」


幽玄はびっくりして咄嗟に玉響をガン見する。

何食わぬ顔で、玉響はぶっ倒れたままであった。


ただ、この兄の変態な所以は快楽ではなく興味関心にも興奮し、勃起する。


「──……ゆら兄、興味を持つのは良いですが、弟の前でギンギンに反応するとか、その可笑しな性癖は何とかならないのか?」

「失礼なっ! これはお前に向けたものではないっ!」


「分かっとるわっ!!」


はぁーっ、と頭を振ると、幽玄はそんな兄は無視して湯船に浸かる。

何でこんな訳の分からん兄たちに囲まれて暮らしているのか、理解できない。


「だから結局俺に白羽の矢が立つんだよ」


「──……それはすまないと、僕も白夜も思っているさ」

それは誰に言う訳でもない呟きだったのだか、玉響が少し寂しそうな笑みを浮かべ謝罪する。


「ウチの家業をお前に背負わせることになるのは……申し訳ないと思っている」


「いえ、これは単なる俺の戯言です。聞き流して欲しい」

幽玄はこの宿命を恨んだりはしていなかった。

別に兄たちを呪うこともしていない。


ただ、今は単純に興味が無かったのだ。

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