第15話 放課後の過ごし方
◇
学校帰りの前には、委員会というものがある。
真面目な陰キャとしては、参加は必須であった。
一番めんどくさくないものとして、図書委員というモノを選ぶ。
こんな高校で放課後に図書館で真面目に勉強するような模範的な生徒は、壊滅的にいなかった。
当たり前だが、本自体借りられることが殆んど無い。
結論:よって委員会の仕事はそこまで無い。
図書室で時間を潰し、たまに本の埃を払い、司書と位置付けられている女性教師の指示に従い、で終わり。
頭も肉体も使わなくていい、面倒くさがりな幽玄にはピッタリな活動であった。
それに図書室にいれば、誰もいないし何していても特に問題はない。
図書館に置いてあるパソコンも、使いたい放題である。
幽玄はちょっとだけその図書室のパソコンに細工をして、セキュリティを付加する。
そして何食わぬ顔で家業の仕事用に使っていた。
「それにしても……この高校の生徒はホント学生としての本分というか、学校通う目的なんか間違ってるよな」
幽玄自体が言えた柄ではないが、幽玄はふっとそんな事を思ってしまう。
前通っていた高校もそんなにレベルの高いところではなかった。
しかし、この高校はそれよりも下位である。
前日の美術のテストで『可愛いチンパンジーをかけ』というお題があった。
本当はこれで及第点を無くすのが教師の意図だったらしいのだが、実際可愛いチンパンジーの絵ではなく『エリザベスに……エリーゼに……』等と〝名前〟を書いて追試の奴がいた。
いろいろと終わっている場所である。
それでも……幽玄に必要なのは『学生』という身分なので助かっていたのだ。
定時制や通信制も考えたのだが……それでは組長である親父が首を縦に振らなかった。
「何考えてやがんだよ……ったく……」
そんな不満を幽玄は吐き出す。
結局、家業は放課後のこの合間にパソコンを勝手に使い消化していた。
ここでチェックや遣り取りを行い、場合として学校帰りに現地で仕事を終えることもあった。
携帯では見にくいこともあったりで……「やはり画面はデカい方がいいよなー」等と感嘆しながら、画面と睨めっこするのが幽玄の放課後の日課となっていた。
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