4月10日 (精神的)童貞を殺す方法

 とち狂ったかのように首を振る鳩を見て、飼っていたインコを思い出す。あいつは鏡と戦う癖があった。それ以上は辞めた方がいいよと言いたくなるほど嘴を叩きつけて、つぶらな黒目を小さく(驚いたり興奮するとそうなった)させた。頭の羽を逆立たせる姿はマフィアのボスを想像させた。怒鳴りつけたと思ったら耳元で囁くように鳴く姿は、自分を裏切った部下を拷問しているようだった。

 鏡のインコが自分だとわかっていたのか、わかっていなかったのか。今となってはわからないことをわかってるわたしはいつか不二子ちゃんみたいな女性になりたい。


 明らかに私はPTSDを持っていて、かれこれ数ヶ月以上当時のことを思い出してはお風呂場で過呼吸を起こしている。

 怖い。取り返しのつかないことになっていたかもしれない。起こっていないことも(起こったかのように)目の前の広がっていく。(起こっていないんだ!)(考えるのはやめて!)と叫べば叫ぶほど、想像が鮮明になっていく。

 頭ではわかっていても、頭と体(なんなら自分と頭すらも)は別々に行動していて、何も思い通りにいかない。恐怖心だったり、傲慢性だったり、自分の思う正しさの「正当化」だったり。

 優しさや好奇心よりも表面に出てきてしまう。怖い。直そうとは思っても、実際に行動をするのではなく言い訳をしてしまう。

「する予定だったんだ/思っていたんだ/そんなはずはなかった」

 自分を信じられないから誰も信じられない。(そんなことないのに)怖い。人が怖い。自分が怖い。生きるのが怖い。死ぬのも怖い。怖いが怖い。


 少しの間、ひとりになりたい。

 納得するまで泣いたり、絵を描いたり、寝たりして整理したい。


(いまだに私は鼓動の音が聞けない)

(瞼を閉じて/音を遮断しても)

(胸の中にあるものが動いている)

          (心臓)

(眠るときだけ取り出せたら)

(どれだけ心地よいだろうか)

(こめかみ/親指/手首)

(血管という血流を)

        (止めて眠りたい)


 異性同性どちらも好きなことを知ってから、優しくされると「ぉ、おぉ俺のことぉ……、好きなのかなぁ……」って童貞みたいな(偏ったイメージ図)ムーブメントをしている。恥ずかしすぎる。穴に入りたい。できるなら細胞分裂していって最終的に消滅したい。

 魅力的な人とまともに会話できない。ぅ、うつくしいっっっ……!って慄いてしまう。目を合わせられない。こぇよ。

 職場に魅力的な方がいて、趣味が合うことに(お互い)気付いた。尊いとはこのことか?????って思いながらお喋りをしてる。


 気持ち悪い人間でごめんなさい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る