第38話 アマテラスの引退
久しぶりに出た『世界最強殺人鬼決定戦』まさかのアマテラスの1回戦敗退。
此処まで通用しないとは思わなかった。
しかも、これは本選のトーナメントじゃなくその前の予選だ。
アマテラスは…
今、私は病院にいる。
他の皆は…ホテルで休んで貰っている。
この病院は通常の病院じゃない…私の持つ特殊な病院の一つだ。
「喜んで下さい、命は助かりました…ですが…」
「無理だったのだな、世界最高の外科技術を持つお前で無理なら仕方がない」
至近距離からサブマシンガンで撃たれて命が助かった。
それだけで奇跡だ。
『見たくない』
そう思いながら私は病室のドアを開いた。
◆◆◆
「神城様…もうしわけ…」
「今は話さないで良い…」
痛々しい。
あのアマテラスが包帯だらけだ。
『命は』そう言っていた。
恐らく二度と殺人鬼として戦いの舞台には立てない。
「ううっ…申し訳…」
「良いんだ、お前は良くやってくれた…名実共に『日本一の殺人鬼』だった…世界の壁が思った以上に厚かった…それだけだ」
「ううっ…すみません」
残酷なようだが、こう言う話は早いうちにした方が良いだろう。
「アマテラス、今君の願いを叶えよう…引退したらハワイで過ごしたいその夢だ、私の大型別荘を譲り、クルーザ等もそのまま進呈する…優秀な執事にメイド…月に2億の現金支給を君が亡くなるまで…支給する」
「うっうっ、私はもう…もう終わりなんですか…」
「すまない…残りの人生明るい世界で楽しく生きてくれ…じゃぁな、これから先は会う事も少ないだろう…達者でな…ご苦労様」
「神代様…」
「ありがとう…アマテラス」
私が作り上げた最強の殺人鬼アマテラス…
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー」
さようなら…だ。
◆◆◆
世界最強殺人鬼選手権…本当の事は解らないが、一応は世界最強の殺人鬼を決める大会だ。
私の目標は此処で優勝する事にある。
此処での戦いは勝つ事が一番重要であるが、それ以外にもエンターティメントせいも求められる。
大会その物を見る存在は裏社会の組織や通常の娯楽に飽きたセレブだ。だから、目立ち強い選手のスポンサーになってくれる。
スポンサーから油田の権利すら貰った存在もいる。
だから、強い事は1番重要だが…ルックスを含むエンターティメントせいも求められるようになる。
だからこそ神9は殺人鬼でありながらアイドルでもある。
人気のあるボクサーやプロレスラーにスポンサーがつくのと同じだ。
アマテラスは神9のリーダー。
勿論お嬢様のようで可憐で綺麗だ…そして、勿論実力もあった。
事実、日本国内では、恐怖の象徴で…裏社会で彼女を見た人間は死を意識する。
だが、そのアマテラスが負けた。
しかも…殺人ロリータなんて奴にだ。
あのクソガキ...次の相手が強いと解ると試合放棄して棄権しやがった。
今の私に世界で戦える、殺人鬼は手元に居ない。
暫くは…また育成に力を入れるしかないな。
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