第14話 小説は絵画でもあり、音楽でもある。

 私は文章を書き、黙読したときの『響き』に、こだわります。

 文章の単語を音に例え、単語の響きを考慮しながら文章がひとつの調しらべ、音楽のようになっているのが望ましい。

 ですので、文字を『音』としてとらえ、文章は『音階』としてとらえます。


 自分の文章を黙読した時、耳に心地よいかどうかを吟味します。


 一方で文章、もしくは小説そのものを『グラデーション』と、とらえる人がいて、興味深かったです。


 音楽も強弱のグラデーションで成り立ちます。

 文章や小説と一緒ですね。

 こちらは文脈を『色』にとらえ、小説を絵画として見ているような気がします。


 ただ、強弱をつければそれで秀逸な小説になるのかといえば、そうでもない。

 適度に特別意味のない、たとえば主人公の生活空間の描写などを組み込むなどして、フラットな部分も書かないと、読者はついてきてくれません。

 ずっとジェットコースターに乗ったままでは目が回るのと一緒です。


 一回ジェットコースターを降りて、休憩してからの二回目が楽しいのは、そのためです。乗りっぱなしじゃないからです。



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