ゴブリンの集落


草原を走っていたらゴブリンの集落を見つけた。

草原の所にポツンと存在している集落は何というか違和感を覚えた。

集落にはゴブリンが数百匹、上位種らしきゴブリンも数十匹いた。

側には10数名の冒険者達がいた。どうやら討伐作戦でも行われるらしい。


「おお、君もこの集落を壊滅させる依頼を冒険者ギルドから受けて来たのか?」

 高そうな鎧を身に着けたイケメンに声をかけられた。


「依頼ですか?いや、受けてないですね。ただ、経験値が欲しいので俺もこのゴブリンの集落壊滅に参加していいですか?」


「依頼を受けていないのなら討伐報酬は出ないがいいのか?」


「あ。はい。俺は経験値が欲しいだけなので大丈夫です」


「そうか、戦力はいくらあっても困らないからな。歓迎しようではないか。よろしく頼むぞ」

 イケメンから握手を求められたので応じる。


「あ。はい。では俺はいきますね」

 許可も貰えたことだし俺は一人でゴブリンの集落に突っ込んだ。

 多分、後々集まって戦うとかするのだろうが、俺には関係ないって奴だ。まあ最悪俺一人死んでも作戦に影響ないだろうしな。死ぬつもりはないけど。

 とにかく俺は今すぐにでも経験値が欲しいのだ。


「お、おい、一人で突っ走るな。まだ作戦は始まってない」

 なんか後ろからごちゃごちゃ聞こえたが、俺には関係ない。

 気にせずに集落にいたゴブリンを斬り殺す。


【ゴブリンを討伐しました】

【経験値を獲得しました】


 よし、経験値を獲得できた。

 ああ。本当に気持ちが良い。


「ハハハハハハハハハ、素晴らしい素晴らしい素晴らしい、最高に楽しくなってきた」


 目につくゴブリンを片っ端から斬り殺していく。

 ただ、思いの外ゴブリン達の数が多く、あっという間に囲まれてしまう。


「そういえば、職業スキルなんてものがあったな。・・・使ってみるか。回転斬り(弱)」

 体が勝手に回転して剣を振った。

 俺の側にいたゴブリンを円形状に全て切り裂いた。


【ゴブリンを討伐しました】

【経験値を獲得しました】


「なるほどね。所謂モーションアシストって奴かな?これは良い。凄く便利だな。次いってみるか。スラッシュ(弱)」


【ゴブリンを討伐しました】

【経験値を獲得しました】


 体が勝手に動き剣を振う、振った剣の威力は心なしかいつもよりも高い気がした。

 ただそれだけ、スキル発動中は自分の意思で動けないという割と致命的な弱点を考えれば、正直普通に剣を振った方がこれは強いと感じた。


「スラッシュ(弱)はゴミだな。次行くか。ダブルスラッシュ(弱)」


【ゴブリンを討伐しました】

【経験値を獲得しました】


 体が勝手に動き剣を振う。スラッシュ(弱)とは違い。攻撃した後に反響のような形でスラッシュがゴブリンに当たった。

 正直威力は上がってるかもしれないが、一撃でゴブリンを仕留められる現状、まあいらいないスキルであった。


「これもゴミだな。今の所使えそうなのは回転斬りだけかな?まあいいや。経験値を獲得してくか」

 目についたゴブリンを斬る。


【ゴブリンを討伐しました】

【経験値を獲得しました】


 経験値を獲得する。気持ちよくなってくる。


 ゴブリンに囲まれる。回転斬りを使ってゴブリンを斬る。

  

【ゴブリンを討伐しました】

【経験値を獲得しました】


 経験値を獲得したことによって更に気持ちよくなる。戦おうというやる気が湧いてくる。

 そしてまたゴブリンを殺す。

 経験値を獲得する。

 やる気が湧いてくる。

 ゴブリンを殺す。

 経験値を獲得する。

 やる気が湧いてくる。

 ゴブリンを殺す。

 経験値を獲得する。

 やる気が湧いてくる。


「おっと、これはレベル上げの永久機関が完成してるじゃあないか。ハハハハハハハハハハ。最高だなぁ、おい」

 

【ゴブリンを討伐しました】

【経験値を獲得しました】

【下位職業・見習い剣士のlevelが1上昇しました】

【下位職業・見習い剣士のlevelが10になりました】

【種族level10以上の条件を満たしています。下位職業・見習い剣士をマスターしました】

【下位職業・見習い剣士マスターボーナスとしてHP・攻撃力・防御力が1ポイントずつ上昇しました】

【新しく中位職業・剣士が解放されました】

 

「来た来た来た来た~~~。見習い剣士をマスターしたぜ。こんなものすぐに転職するしかないような。経験値が勿体ないからなぁ。そうだろ」

 高揚してまとまな思考回路になってない頭で職業変更を使い剣士に変更する。

 具体的なステータス確認は取り敢えず後回しだ。


 今はただ目の前にいるゴブリンを殺しつくして経験値にさせなきゃな。


「ああ。本当に楽しいなぁ」


―――――――――――――――


 この作品の私的に考える面白い点はズバリ番外編です。

 普通に頭のネジがぶっ飛んだ主人公を他視点から見ることによって愉悦するのがこの作品の楽しさです。

 という訳でもうそろそろ他視点での番外編をやるつもりです。

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