草原ダンジョン


 冒険者ギルドを出てからすぐに紹介された武器屋に向かい、商人さんから貰ったお金のほとんどを使い、そこそこしっかりとした鋼の剣と皮鎧を買い、何人かに道を尋ねながら草原ダンジョンへと到着した。

 

 草原ダンジョンには数人の冒険者と思われる人たちが出入りしており、入口には全身鎧の騎士のような人が一人、門番のような形で立っていた。


「冒険者プレートを提出してくれ」

 草原ダンジョンに入ろうとしたら門番の人に引き止められる。

アイテムボックスに収納してある冒険者プレートをポケットから取り出すふりをして提出する。


「確かに確認をした。ようこそ草原ダンジョンへ」


「ありがとうございます」

 軽くお礼を言った後、俺は念願のダンジョンへと足を踏み入れた。


 ダンジョンの入口はなんの変哲もない洞窟のようだったが、中に入るとそこは草原だった。


 本当に草原なのだ。


 ひたすらに広く空があり意味の分からないことに太陽まであり、辺りを見渡すと薬草を採取している冒険者や魔物と戦っている冒険者がちらほら見つかる。

 まるでゲームの初心者が使う狩場のような光景がそこには広がっていた。


「これが草原ダンジョンか。ハハハハハハハハハハ。凄いな。ああ、凄いよ本当に凄い。流石異世界だな。さて楽しい楽しいレベリングの始まりだ」

 

 俺は最も近くにいたゴブリンのような魔物に走って首を剣で刎ねた。

 買ったばかりか知らないが剣の切れ味は良く、いとも簡単にゴブリンのような魔物の首は飛んだ。

 

【ゴブリンを討伐しました】

【経験値を獲得しました】


「経験値獲得っと。にしても今のはしっかりとゴブリンだったか。ハハハハハ。いいねいいねいいね。気分が上がって来た。なんだろう。凄く今楽しい楽しい良い気分だ」

 俺は多分頭のネジが外れていると思う。

 ダンジョンに来るまで、いや魔物を殺して経験値を獲得するまでは普通の一般人でいれたと思うのに、今はどうしようもなく魔物を殺したり経験値を獲得したいレベルをあげたい強くなりたいという欲求で溢れてしまっている。


「ああ。本当にハクスラって良いよな」


 ダンジョンというだけあって謎の力でゴブリンの死体は消え残った魔石を回収した後、俺は次なる魔物いや経験値を求めて走った。


 少し走ればよさげなゴブリンがいた。

 すぐに襲い掛かり斬り殺す。


【ゴブリンを討伐しました】

【経験値を獲得しました】


 気持ちの良い音が俺の気分を高揚させてやる気を高めてくれる。


「取り敢えず、まずは見習い剣士のlevelをMaxまで上げたいな。その為にも魔物を殺して殺して殺して殺して経験値を獲得しなきゃな。ハハハハハ。更にテンションが上がって来たぞ。いくらでも続けられそうだ」


 俺は宣言通り、魔物を殺して殺して殺しまくった。

 ただひたすらに買ったばかりの鋼の剣を振り回して目につく魔物を片っ端から殺していった。

 ステータスの力のおかげか体力的な疲れは一切なかった。


 殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺しまくった。

 ただひたすらに経験値を獲得しまくった。


「ハハハハハ。ハハハハハ」

 戦っている途中自然と笑いがこぼれていた。

 笑いながら戦う、自分でも狂ってるなと思いながら戦っていく。


【ゴブリンを討伐しました】

【経験値を獲得しました】

【下位職業・見習い剣士のlevelが1上昇しました】

【levelが9になりました・職業スキル・攻撃力強化(弱)を獲得しました】

 

「お、levelが上がった。そんでもって新しく職業スキルを獲得したな。一旦ステータスを確認してみるか」


  ステータス

 名前・千大 大和 

 年齢・19歳 

 性別・男 

 種族・人間 

 種族level・21

 職業・見習い剣士

 職業level・9

 

 HP・231

 MP・220

 攻撃力・32

 防御力・31

 魔力・22

 俊敏・22

 器用・22

 

 ギフトスキル

 【職業変更】【アイテムボックス】


 種族スキル

 【人間共通語理解】【日本語理解】


 職業スキル

 【見習い剣術】【スラッシュ(弱)】【回転斬り(弱)】【ダブルスラッシュ(弱)】【攻撃力強化(弱)】


 自力獲得スキル

 【速読】【持久力向上】【走力強化】【四則演算】【日本歴史理解(中)】【数学理解(中)】【法則理解(中)】【妄想】


 称号

 【異世界転移者】


「おお。しっかりと強くなっているな。攻撃力の数値が1他の数値よりも上がってるってことは【攻撃力強化(弱)】の効果があるってことか。なるほどね。そんでもって今のlevelが9か。何となくだが10になったら何かありそうだな。ワクワクするね。さて魔物を殺すか」

 

 辺りを見渡すが魔物が見当たらなかった。

 どうやら俺が殺し過ぎてしまっていたようだ。

 

「さて、困ったな。魔物が見当たらないや。しょうがない奥に進んでいきますか」




―――――――――――――――


 補足説明


 ゴブリン30分間も倒したのに職業levelが1上がるだけとか経験値少なくね?

 ゴブリンは下級の魔物な上、職業levelはlevelが高ければ高い程要求経験値が上昇します。

 具体的な数値を考えると小説を書きにくくなるので書くつもりはないですが、大雑把に適当なゲームのレベルアップでも考えてください。

 因みに件のトレントはレベル差が大きかった為にかなりの量の経験値が入った形であり、職業level敵に自分よりも格下のゴブリンから獲得できる経験値量はかなり少ないです。


 以上

 補足説明終わり。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る