第3話 ファーストミーティング
大きな講堂にたどり着くと、すでに100を超える高校生年代の人たちが席に座っていた。俺たち新隊員はアカマツさんの後を追い、舞台に上がって横1列に並んだ。当然自分に注目がいっているわけではないが、それでも見られていると意識してしまい恥ずかしく思う。でも今日、ここから俺の人生の新しい1歩が始まるんだ。
アカマツさんは俺たちの列の前の真ん中に立ち、マイクを通して話し始めた。
「みなさんおはようございます、それでは今日のミーティングを始めていきましょうか」
アカマツさんは話を続ける。
「ですがその前に、、例年通り今年もこんなに多くのたくましい少年少女がこの"サンスベリア"にやってきてくれました」
先輩たちの注目がいっきに俺たちへ向く。俺も来年は一丁前に先輩たちのように座れているのかな。
「歓迎の拍手を!」
アカマツさんが言うと、先輩たちは拍手を始めた。憧れの場所に立つことができている喜びを噛み締める。まるで俺の伝説の始まりを祝福しているかのような拍手に感じる。
「それでは新隊員の皆さんは降りて、あちらの座席に座ってください」
アカマツさんが指示を出すと、スタッフの方たちが俺たちを座席へ誘導した。
新隊員のメンバー全員が座り終わると、アカマツさんは再び話し始めた。
「それでは改めまして、ええ皆さん、既にご存じであると思いますが、最近ディバプロ周辺で”アザミ”の姿が数回目撃されています」
前の大きなモニターに「アザミ」の詳細情報が映し出される。彼らにはエンブレムがあるので、周辺を彷徨いているのが「アザミ」だとわかるらしい。
「彼らは、今や世界1の悪党集団と言っていいのですが、そんな彼らでさえ神の御加護に触れるのは御法度だと、オーブについて手を出すことは避けてきたはずなのです」
さすがの悪党でも神様相手じゃ手が出せんよな。
「だったはずなのに、なぜか最近ディバプロの周りを彷徨き、既に一部は入国しているという噂もあります」
入国審査で弾くことができないのか。やはり悪党も悪党でしっかり手を打ってるんだろうな。
「でも本当にオーブが目的かどうかは、わからないんじゃないんですか」
誰かが舞台上にいるアカマツさんに対して質問をした。
「そうですね、キウラくんのおっしゃる通り、彼らの狙いがオーブかどうかは確かにわからなか・っ・た・」
この場において質問ができるということは、キウラくんという人は凄い人なのかな。アカマツさんは話を続ける。
「彼らが来ないことを祈っていたのだが、先ほどこんな匿名のメッセージが私のもとに届いた」
アカマツさんがそう言うとモニターにそのメッセージの内容が映し出された。
『国民を大切に思うのなら、我々に逆らうな。万が一の場合は武力行使を厭わない。』
といった内容のメッセージと共に、「アザミ」のエンブレムが載っけられている。宣戦布告のようなものだ。
「我々はいち早く対策をしていかねばならない」
アカマツさんは真剣な表情で俺たちに訴えかける。
「考古学者などの協力のもと、いくつかオーブがありそうな場所の候補を出している」
モニターにディバプロの地図が映し出され、候補の場所にピンが立っている。
「皆さんのスマホでも、この地図はいつでも見ることができます、確認してみて下さい」
アカマツさんがそう言うと、隊員たちは自分のスマホで確認する。
俺もサンスベリアのアプリから地図を開き、場所を確認する。
いやー、国内各地に散らばっておりますなー。
「当然こんなに散らばっているので、チームに分かれて動いてもらいます」
モニターがチームに関する説明を映し出した。
要約すると、1チームは大体4ー5人で動いていくということらしい。
「それでは、早速ですが今からあなたが誰と一緒に行動していくかが記されたものを送ります」
アカマツさんがそう言うと、隊員たちのスマホの着信音が鳴った。
緊張の瞬間だ。心臓の鼓動を感じる。
俺は意を決してアプリ内のメッセージを開いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます