第10話大浴場・脱衣場を設置しました
やはり慣れませんね。一気に魔力持っていかれるのは。
「オーナー、設置完了致しました。大浴場の管理はグランの担当となります。新たな機能も追加になっております。ご確認下さいませ。また大浴場 男湯設置の為、現在オーナーのMP残量は6,787となっております」
「ありがとうございます、エア」
喫茶店のカウンターで項垂れていた僕に代わって、優秀な執事として動いてくれるエア。…… 残り残量6787ですか。
「エア、残り残量で設置出来る設備ありますか?」
「ロッカールーム[大型六人用 室内着×6 鍵付き]MP1200、シューズボックス[中型六人用 室内靴×6 鍵付き]MP900、自動販売機(販売物のみ外界に持ち出し可能)カップ麺専用機・アイス専用機・ジュース、コーヒー専用機・ビール専用機・お菓子専用機 各種一律 MP5000、マッサージチェア 一台 MP2000を選択次第で設置可能です。ですが設置するのであれば、これらは就寝前に設置する事をお勧め致します」
「大丈夫ですよ、エア。そうお願いしようと思っていたんです。でもお風呂に入りながら何を選ぶか考えてみます。先にお風呂へ向かいましょう」
カップを片づけてキイの喫茶店を出ると、フロントのある部屋が大きくなっています。そして喫茶店とフロントの間に「男湯」暖簾がかかっている入り口が追加されています。
「おお〜、良いじゃないですか!」
中を確認しに行きましょう、と思ったらグランに呼び止められました。
「オーナー、「大浴場・脱衣場」が設置された事により機能が増えています。ご確認をお願い致します」
…… そうでした。まずは色々確認も必要ですね。フロントのカウンター内に入り、画面を確認します。
【亜空間グランデホテル フロント】
【宿泊者登録】
【宿泊状況】
【大浴場利用者登録】
【大浴場利用状況】
【大浴場・脱衣場管理】
【フロントスタッフ登録】
【大浴場スタッフ登録】
【(備品発注)】
【(お土産コーナー)】
「現在、私グランによって管理させて頂いている一覧アプリをご覧頂いています。必要に応じて随時ご説明致しますが、中でもオーナーにご協力頂きたい箇所がございます。【大浴場・脱衣場管理】に進ませて頂きます」
【大浴場・脱衣場管理】
【温度管理】随時 ON/(OFF)
【空調管理】随時 ON/(OFF)
【水量管理】随時 ON/(OFF)
【水質管理】随時 ON/(OFF)
【清掃管理】
大浴場(朝・晩二回)MP100 ON/(OFF)
脱衣場(朝・昼・晩三回)MP150 ON/(OFF)
【備品補充】
大浴場・脱衣場(朝・晩二回)MP200 ON/(OFF)
「ご覧の通り【大浴場・脱衣場管理】の際、オーナーから毎日魔力を頂く許可を申請致します。いかがでしょうか?」
「勿論良いですよ、グラン。そうなると総合して毎日どれくらい魔力とられるのでしょう?」
「それは私エアがお答え致します。【大浴場・脱衣場管理】を総合してMP550、ホテル内では【空調設備】と【カプセル内防音、消臭】にてMP200、召喚事の【ホテル内清掃】も含めますと最大でMP1750の消費となり、現時点でのオーナーの一日の使用可能MPは48,250スタートとなります」
「そうですか、グランもエアもありがとうございます。管理に必要な事は許可出しますが、これからも僕に報告はお願いしますね。で、もうお風呂に行って良いですか?」
「勿論でございます。お時間を頂きありがとうございました。ごゆっくりおくつろぎ下さいませ」
グランからお風呂に向かう許可が取れたので、今度こそお風呂に行きましょう!ついでにエアは説明があるそうで、脱衣場まで持って行く事になりました。
男湯暖簾をくぐると広い脱衣場が僕を迎えます。入り口近くに個室トイレと三人同時に使用出来る洗面台に鏡が設置されています。脱衣場の真ん中には脱衣カゴが12個設置された棚が背中合わせに二つあり、奥に休憩用長椅子が備え付けられていました。
男性用アメニティも揃ってますね。髭剃り/シェービングフォーム/歯ブラシ/使い捨て用クシ/ヘアオイル/ヘアワックスまで完備です。これは明日からここで朝の準備ですね。あ、備えつけられたドライヤーは三つ。…… コンセントまでありますが、使いますかねぇ。
「オーナー、この大浴場は一度にご利用出来る人数は二十四人とさせて頂いております。また各脱衣カゴの中には大判タオル/フェイスタオル/ボディタオルも各一枚ずつ用意されております。
使用後につきましては、大判タオル/フェイスタオル/ボディタオルは長椅子横の使用済み籠に入れて置いてくだされば、【清掃】時にクリーンをおかけ致しまして初期の状態に戻る仕組みになっております。ここまでは大丈夫でしょうか?」
「ありがとう、エア。…… これ僕一人で使うには贅沢すぎますね。でもまぁ、オーナー特権ってやつですから楽しみますか」
「オーナー、大浴場の設備の説明は必要ですか?」
「大丈夫。ゆっくり堪能しながら調べさせてもらいますよ」
「畏まりました。何かありましたらお申し付け下さいませ。ごゆっくりおくつろぎ下さい」
エアの丁寧な説明の後、僕はいそいそと服を脱ぎ準備をします。さあ!待望の入浴時間です。
ガラッと引き戸を開けると程よい熱気が僕を迎えます。まず手前には多くの洗い場が見えます。一つ一つの洗い場にはシャンプー/トリートメント/ボディソープ/洗顔石鹸/風呂桶/風呂用椅子が備えられています。
お風呂知らない人には説明が必要かも知れません。そんな事を考えて、僕は髪と全身を洗い始めます。
やはりシャワーも使い方知らないでしょうし、最初は僕が説明するとして、女性風呂の方はどうしましょう?今後の対策も考えながら身体をシャワーで洗い流します。
さて!入浴準備完了です。まずは泡風呂で身体をほぐしましょう。しばらく「あー…… 」と親父くさく声を出しながら浸かり、その後大浴槽で、チャポーンとゆっくり浸かります。
たっぷりの綺麗なお湯に浸かる幸せを経験したら、もう後には戻れません。この世界の人にもこの沼にハマらせてみたいものです。
ゆったり浸かりすぎてサウナとジェット風呂は堪能できませんでした。この二つは時間ある時に入りましょう。室内着で過ごす一日があっても良いかもしれません。いやぁ贅沢。
ホコホコした身体をふわふわタオルで拭き、服をもう一度着直します。室内着に着替えたかったですが、この後木陰の宿に戻りますからね。仕方ありません。
洗面台に向かいドライヤーで髪を乾かし、スッキリ爽快です!心なしか少し回復した気がします。
でも重大な事に気づきました。
コーヒー牛乳がありません!由々しき事態です。
…… 決定ですね。今日寝る前には自販機を設置しましょう。
うんうん、と頷きながら「エア」を持ってフロントに戻ります。すると、グランが僕を呼んでいますね。何かあったんでしょうか?
「オーナー、ホテル正面扉の前に「木陰の宿」のスタッフが居ます。画面に映しますので確認をお願いします」
画面に映っているのは、あの元気な猫耳少女じゃないですか!しかもこっちをみています。え?なんで?
「グラン、あの正面扉って見えないし触れない筈ですよね?あの子の目線からすると、見えている様に見えますが」
「オーナー。あの扉は「看破」スキル所持者には通用致しません。ですのであの少女はそのスキルを所持しているかと推測致します」
うわあ…… なんて事でしょう。こんなに早く気づかれるとは…… !
「オーナー、あの少女が騒ぎ出す前に事情を説明してみてはいかがでしょう?「看破」スキルは、誠実で正しい心の持ち主にしか所持できません」
「エア?その情報も一般常識なんですか?」
「こちらも初期設定の情報の中にインプットされておりました。一般には余り知られていないと存じ上げます」
という事は創造神様の配慮ですね。ありがとうございます。
はぁ、仕方ありません。
彼女には入館者第一号になって頂きましょう。
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