秘密と恋人

第1話

蓮学（おうれん）学園は、翠峰（すいほう）市にある全寮制の名門女子校である。

校舎は高台に建ち、翠峰市内を一望することができる。

学園の教育方針は、女性が自立し、社会に貢献することを目的としている。

そのため、学園は女性のための様々な施設を備えており、生徒たちは自己表現やアイデンティティの確立を目指し、学びを深めている。

同時に学園の校則は非常に厳格である。

生徒同士の恋愛は一切禁止されており、違反した場合は即退学処分となる。

この厳しい校則によって、生徒たちは純粋で清廉な心を持ち、より真剣に学ぶことができるのだ。

桜蓮学園の生徒たちは、厳しい校則にも関わらず、誇りを持って自分たちの学びと生活を送っている。

この学園は女性たちの輝かしい未来を切り拓く場所であり、多くの人々にとって憧れの存在となっている。

入学式当日、望月令菜（もちづきれいな）は緊張で顔が引きつっていた。

彼女は地元の小学校と中学校に通っていたため、新しい場所に慣れるのが苦手だった。

人混みに紛れながら、彼女は静かに自己紹介の順番を待っていた。

やがて、令菜の番がやってくる。

彼女は緊張で足がすくみ、名前を言うことがやっとだった。

「あ、あの、こんにちは。私は望月令菜といいます。よろしくお願いします。」

令菜の声は小さく、ひ弱な印象を与えたが、明確に言葉を伝えることができた。

その後自分の席に戻り、周囲の生徒たちからは、暖かい拍手が送られた。

次に紹介されたのは、彼女の隣に座っていた朝倉唯（あさくらゆい）だった。

「初めまして。朝倉唯といいます。中学生活は美術部に所属していました。

そこで得た創造力と熱意を、この学校でも発揮していきたいと思っています。よろしくお願いします。」

令菜は彼女の美しさに驚かされた。

唯のまっすぐな黒髪は艶やかで、肌は白く透き通っていた。

その美しさは、まるで彼女が絵画の中から飛び出してきたかのようだった。

令菜は、唯が自己紹介を終えた後も彼女の美しさに心を奪われていた。

「朝倉さんって、すごく美人だよね…」と、令菜の隣に座るクラスメイトが友達と話している。

唯が席に座り、周囲の生徒たちから送られる拍手を受けながら、令菜と目が合う。

「よろしくね、望月さん」と唯が令菜に向かって挨拶した。

「こちらこそよろしくお願いします。」と令菜は照れくさそうにする。

令菜は唯と仲良くなりたいと思いながらも、自分の内向的な性格が邪魔をして、なかなか話しかける勇気が出ない。

「あー、どうしよう、私ってこんなに緊張しやすかったっけ……」令菜は心の中でつぶやいた。