第27話前回の婚約3
ぺーゼロット公爵家は
何しろ、義母の父君は先々代国王の第一王子。それも王妃腹の嫡出。それが公爵家の入婿となった。相思相愛同士の結婚とあるけれど、その背景を考えるとただの恋愛結婚とは言い難い面がある。
王家の凋落は先々代国王から始まったと言っても過言ではない。
先々代国王陛下は政略結婚の相手である隣国の王女を娶っていた。王妃の死後に寵愛著しい愛妾を周囲の反対を押し切って再婚した。それはいい。問題は、
同盟国と言えども、王妃の国の方が大国。
戦争は敗北に終わった。
それも当然だろう。
国の規模が違うのだから。時の宰相が交渉し、公爵家に婿入りしていた第一王子の王位継承権を復活させて事なきを得たらしい。もっとも、第一王子は即位を辞退した。諸悪の根源である先々代国王と
つまり、今現在この国の王家は他国から見たら簒奪者の家系。正式な王家の血を引いているのはぺーゼロット公爵家の方だ。しかも、王族の証とも言える「紫の目」も公爵家が継承していた。その為か、この国の貴族達は公爵家を特別視している。
だから、と言うべきか。
公爵家は王家に対してエラそーな態度が許されている。早い話が失礼な態度を取っても不敬罪にならない。それは公爵家が「正統な王家の血筋」と考えられているからだ。
国の安定のために、引いては弟を守るために第一王子は王位から身を引いた。「悲劇の第一王子」「愛国の王子」と今でも慕う者は多い。
王家の方も自分達に正当性がない事をよく理解していた。まあ、ボンクラ王子は除いてだけどね。先代国王は傀儡の王として過ごし、心痛の末に若くして亡くなっている。現国王は王家を正当な血筋に戻したいという意志もあるのだろう。そして、亡き王妃に面差しのよく似た第一王子が可愛い。たとえ傀儡の王になると分かっていても即位させたいという親心が働いたのが本音だろう。臣下に降りたら第一王子は生きていけない事も悟っているはずだ。だからこそ何が何でも王位について欲しい。どのような形でも――現王家は貴族達の恨みを買い過ぎたせいだ。
国王の王太子時代のやらかしとその不始末故に、母方の後見人である侯爵は代替わりした時に王家から距離を取った。子爵家出身の王妃を認めないという意志表示だった。これにより後見人を事実上辞退したという形になった。
だからと言って何故、義姉上を生贄よろしく王家に差し出さなければならないんだ!
ふざけてる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます