雷門麻兎は救われない。~僕と神様と人類無救済コメディズム~

茜野

プロローグ

 今日はきっと厄日なんだろう。


 寝不足だと言うのに朝早くに太陽の日射しから叩き起こされるし、落ち着いて眠らせてくれない悪夢は昼を過ぎても続き目の下の隈は取れないまま。

 夕方には大嫌いな奴が来なくて良いのに態々家まで来ては、良いように玩具にされて籠り続けていたい家を嫌でも出なくてはいけない用事を押し付けられて……。




 もう本当、何もかもが散々だ。

 良い事なんて何一つとして無い。




 だから他の生徒が帰った後の“こんな所”まで足を運ぶ羽目になってしまうのも、そこで説明するのも難しい“良く解らない出来事”に遭ってしまうのも、得体の知れない“厄介なもの”に出会でくわしてしまうのだって、間が悪いなんてモンじゃない。

 泣きっ面蜂だってまだ可愛いくらいだ。




『おれのやしろを壊した悪餓鬼め、罰当たりな奴め。罪深いオマエに“天罰”をくれてやる!』




 勘弁してくれ、一体自分の何が悪いって言うんだ!

 こんな理不尽あって堪るか!


 今日は厄日だ、きっと最厄の日なんだ。

 全部全部、そのせいだ。

 でなけりゃこんな“不運”続き、納得なんて出来やしない。




 きっと世界中何処を探したって、今の僕程ついてる・・・・奴は居ないだろう。


 だって“祟り神”に憑かれる・・・・なんて異常事態、誰に話したって信じて貰えやしないんだから。



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