第2話

 その後、罰金として金貨10枚を支払うことになった。

 だが、こっちとしては正当な請求なので全く問題はない。

 むしろ、犯罪奴隷の仕事を邪魔したという事で賠償金も上乗せできた。


「うーん、これからどうするか」


 宿屋に戻って今後の事を考える事にした。

 正直、もうこの国に留まる理由もないんだよなぁ……。

 いっそのこと他国に行ってみるかな?……いや待てよ。この国は確か、獣人差別が酷いんだったな。

 それに俺の顔は知られているだろうから、町中を歩くのは難しいかもしれない。

 となると、国外に出るしかないのか? そうなると……やはりあの国に行くしか無いだろうな。

 俺はある場所に向かうための準備を始めた。


「さて、行くとするか」


 準備を終えた俺は宿を出て、目的地へと歩き出した。

 街を出る前に、一応冒険者ギルドに立ち寄ることにする。ギルドに入ると、相変わらず騒がしい雰囲気になっていた。


「おう、あんたか。久々だな」


 受付にいたスキンヘッドのおっさんが話しかけてきた。

 名前は覚えていないが、この人は結構親切に接してくれるんだよな。


「ああ、ちょっと用事ができてな。しばらく留守にする」

「そうかい。気をつけて行ってこい」

「ありがとう」


 そう言って、俺はギルドを出た。そして町の外に向かって歩いていく。

 さすがに町中に転移するのは目立ちすぎるからな。

 人目を避けながら門までたどり着いた。


「おい、お前!」


 すると、いきなり衛兵に呼び止められた。

 何だよ一体……。


「お前、最近ここに来た奴だろ? どうして町から出て行こうとするんだ?」

「え? 別に理由なんてないけど……」


 適当に誤魔化そうとしたが、「そんなわけないだろう?」と詰め寄ってきた。

 うわぁ……めんどくせぇ。


「お前、何か怪しいぞ? ちょっと来い!」

「え? ちょっと待って……」


 強引に引っ張られ、近くの詰所に連れていかれる。

 そこには数人の衛士がいて、俺をジロリと睨んできた。


「おい、コイツは何だ?」

「それがですね……」


 俺を連れ去った衛兵が事情を説明すると、彼らは驚いたような顔になる。


「なんだと!? コイツがあの……」

「信じられないな……」

「本当ですよ!この人がこの町の英雄なんです!」


 英雄という言葉を聞いた瞬間、彼らの態度が変わった。


「なるほど、そういう事なら話は別だな」

「そうだな。疑って悪かった」

「いえ、気にしないでください」


 俺は笑顔で答える。

 何とか誤解を解くことが出来たようだ。ふう、良かった。……と思ったのだが。


「じゃあ、お前にはここで見回りをして貰うぞ」

「は? なんで?」

「お前が悪人じゃないという証拠を見せてくれ」

「そんな無茶苦茶な!」


 結局、俺が犯罪者ではないと証明されるまで、数日間は拘束されることになった。

 まったく、とんでもなく迷惑な話だぜ……。

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