第16話 ルイス死す

 俺は、一瞬の隙を突かれ姉妹の攻撃を受けていた。

 だが──

「……うそ──何で一発も当たらないんだっ!」

 俺は、後ろに下がりながらエメラの姉の攻撃を紙一重でかわす。

「何故なのか教えてやろう。それは、お前の動きには無駄があり過ぎて、俺の動きには一切の無駄が無いからだ」

 俺はそう淡々とエメラの姉に向かって告げる。

「クソッ、クソッ、クソオォォォッ!!」

 エメラの姉は躍起やっきになり、攻撃が荒くなる。

「姉さん! 相手のペースに乗せられないで!」

 エメラはそう言いながら、ナイフを投擲とうてき

「甘い!」

 俺は投擲されたナイフを手で弾いた。

「なにっ?!」

 ナイフを弾くが、投げてきたエメラ本人が視界から消えたのだ。

「甘いのはそっちだ!」

 声がする方へ向くと、俺の足元に姿勢を低くしたエメラがいた。

「ナイフは、目くらましか!」

「もう遅い!」

 エメラは、腰を低くして素早く俺の足を払う。

 足を掛けられた俺は体勢を崩す。

「もらった」

 エメラの姉はそんな死亡フラグじみた言葉を発するがもちろん────

「カハッ!!」

 俺の心臓には、エメラの姉が振りかざしたナイフが皮膚の表皮・真皮しんぴ・皮下組織の3層と骨を突き破り、深々と刺さった。

「中々、やるじゃねえか!」

「テメェ、まだ生きてんのか!」

 エメラの姉は深々と俺の心臓を刺したナイフに力を入れてひねる。

「ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ゛!!」

 俺は、あまりの痛さに耐えられずにわめき散らかす。

「……こ、これは……痛い……な……」

「お、お前なんで死なねえんだよ!?」

 エメラの姉は俺の異常な生命力に驚愕する。



「お、俺は……この程度で……死ぬ……訳が──」



 言い終える前に、俺の腹部を何かが貫いた。



「み、見事だ……」



 俺は口から血を吐き出しながら地面に倒れ込んだ。

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