第3話 魔物の森
俺は今、手駒の【リナ】と銀髪巨乳アンドロイドメイドである【ベルファスト】を連れて、魔物が住む森を歩いていた。
ベルファストは俺が多額のお金で特注した高性能のアンドロイドだ。そして、個性もある。
主である俺以外の命令には従わないのだ。実に信頼できる素晴らしい手駒だ。
感心、感し──
「ルイス様、お怪我ございませんか?」
「あぁ、大丈夫だ」
感心していたら、木の根っ子に引っかかり、転けそうになったのをベルファストに助けられた。
きゃああああ、惚れちゃうー!!
やはり、流石高性能アンドロイドだ。
いや、お前がただドジなだけだって?
ウールーサーイーゾー。
ロボットみたいな喋り方させるな! アホか!
「ルイス様、お下がり下さい!」
すると、目の前に複数のコブリンが現れ、リナが俺に下がるよう言ってきた。
「ここは私、カリーナにお任せを」
リナは腰に差しているレイピアを鞘から抜き、ゴブリンたちに向けて構えた。
コブリンたちは、叩き潰そうと一斉にリナに襲いかかる。
しかし──突如リナに襲いかかるゴブリンの動きが止まった。
何故なら……お前らはもうすでに斬られている!
俺がそう心の中で呟くと、ゴブリンたちは姿形が跡形もなくなり細切れにされた。
「ルイス様に牙を向けたこと、万死に値する!!」
リナの顔が鬼の形相になり次々と残りのゴブリンたちを殲滅していく。
たった数ヶ月でここまで強くなるとはな。
その様子を見ていた俺はリナに感心していた。
「ルイス様、掃除が完了しました」
「ご苦労だっ──」
隠れていた一匹のゴブリンが俺の頭上に向かって降ってきた。
「ルイス様、危ない!」
リナは咄嗟に叫ぶ。しかし、これは予測通りのことなので慌てずに対応する。
「不意打ちをするなら、もっと気配を隠すべきだな」
俺はコブリンに対し人差し指を向けて、指先からビームを放ちゴブリンを一撃で仕留める。
「申し訳ございません、一匹逃してしまいルイス様に怪我を負わしてしまう所でした」
リナは走ってきて、すぐに膝をつき俺に頭を下げる。
「……怪我を負うだと?」
俺が急に不機嫌になったの見て、リナが体をこわばらせる。
「な、何かルイス様にご無礼を」
「逆にお前は俺に対して、無礼を働いていないと思っているのか? おいっ!」
「も、申し訳ございません!!」
いいよ、いいよ。そうだ、この俺に頭を下げろ。
「そもそも、何でお前よりも強い俺が怪我を負うと思ったんだ? この、オ・レ・が! お前よりも強い、オ・レ・が! この俺を心配するなら、もっと強くなってから言うんだな」
そう言い俺は歩き出すが、一度立ち止まりリナに振り返る。
「俺を守れるくらい強い騎士になれ、リナ」
それだけ呟き俺は歩き出した。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
私は今、ルイス様からお叱りを受けている。
お叱りの内容は、何故ルイス様よりも弱い私が心配するのかということだった。
よくよく考えれば、私よりもお強いルイス様があの程度の魔物にやられるはずがない。
私は自分がルイス様よりも強いと思い上がっていたのか?
ルイス様のお側にいる身として情けない。
ルイス様によるお叱りが終わり、私は情けない表情を見せないようにして付いて行く。
すると、ルイス様は立ち止まり私に言う。
「俺を守れるくらい強くなれ、リナ」
それだけ言うとルイス様はまた歩き始める。
私はこの時に誓った。
絶対にルイス様を守れる騎士に。そしてルイス様に恥がない騎士になろうと。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
俺たちは魔物が住む森のだいぶ奥の方まで来ていた。
「そろそろ屋敷に帰るぞ」
俺はリナが最後の魔物を倒したのを見てからそう言った。
「はい、ルイス様」
俺はベルファストに耳打ちをした。
「ベルファスト、帰りにいい土産をゲット出来そうだ」
俺は帰り道に何か面白いことが起こることを予期していた。
「それは良かったです。ルイス様」
ベルファストは俺が言うことを大体は肯定してくれる。
俺たちは魔物の森から出るため歩いていると、戦闘音が聞こえてきた。
「もしかして、誰かがやりあってんのか?」
俺がそう言うと、ベルファストとリナは二人して頷く。
「なら、行くか。二人とも付いて来い」
俺は音がする方へと歩き出した。
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