追放補助魔術師とはぐれ者転生者
ぽりまー
第1話 僕が彼に出会うまで
「ユーリ。お前クビな」
冒険者ギルドで、僕は長く共に戦った仲間にそう言われた。
「な、なんでいきなりそんな……。ど、どういう理由でそんなこと言うのさ、アラン」
「なんでって、使えないからに決まってんだろ?」
使えない。そうアランは思っていたみたいだ。僕は、結構貢献していたつもりでいたんだけど、何がいけなかったんだ。
「お前さ、今まで俺たちに何か貢献した事あったかよ。ねえだろ。今までずっと思ってたが、お前お荷物なんだよ。これから更に生存率の低い迷宮に挑んだり、いつか魔王と戦ったりしなきゃならないのに、お前は邪魔なんだよ!」
アランは声を荒げた。アランがここまで怒ることは今までなかったから、どうやら本気でそう思っているみたいだ。
「嫌だとか、そんな返事は聞かねえ。さっさと失せな」
アランはそう言って僕を突き放した。
こんなことがあって良いのか。僕は、僕らは今まで共に必死になって戦ってきたというのに……。
それから、僕は何も言い返せずその場を後にした。ここまでは覚えているがその先はあやふやだった。気がついたら街の中央にある噴水まで来ていたが、それまでの道中の記憶が無いのだ。余程ショックだったのだろうか。
アランに言われたのが昼頃だったのに、もう日が沈みそうだ。噴水には一人しか人がいない。
「なんで、なんでなんだ……っ」
ああ。今日は最悪な日だ。視界がどんどん暗くなっていくように感じる。
ふと、視界の中央に映る一人の人の姿が気になった。なんとなく、本当になんとなくなんだけど、今の僕と同じ感じがしたのだ。一人はぐれ、この世に一つの希望も失ったような。
「あの、大丈夫ですか?」
声をかけた時、その人の服装に目がいった。この辺りでは見ないような格好だからだ。異国の人なのかも知れない。
その人は顔を上げ、僕の方を見る。
「っ……」
思わず後退りしてしまった。なんて顔をしているんだ。吊り上がった眉と死んだ魚のような目、口角など、とてもまともに生きてきた人とは思えない人相だった。まるでたくさん人に傷つけられ、人を傷つけてきた様な。
「……誰だよ、お前。此処は何処だ」
その人は、僕から目を逸らした。そして大きなため息を吐かれた。
「あ、あの」
「お前、ひでぇ顔してんな」
その人は鼻で嘲笑する。だから、
「貴方もですよ」
僕もそう言い返した。
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