先祖返りっていう微妙に嬉しくのない才能について

バブみ道日丿宮組

 才能とは生まれた時点で既に発覚してる。

 それは一般的に先祖返りだと言われてるものが該当する。祖先がそういった力を持ってるから、そう呼ばれるのだが、文献は残ってない。

 歴史の教科書も歴史しか書かれておらず、才能については記述されてない。戦争が強いのが才能、子供がたくさん作れるのが才能。いろいろな説が出されてるが答えはない。

 先祖返りなんてかっこいい名称がついてるが、実際のところあまり役に立たない。

 ただの第六感にそもそも伝説めいた運命を感じるのはおかしいことだろう。

 絶対音感であったり、悪い箇所が透けて見える。身体が異常に軽い。誰が誰と付き合うかがわかる。そんなどうしようもない才能を私たちはそれぞれ持ってる。

 役に立ちそうなものも中にはありそうだが、別になくても良い。

 先祖返りという名前に負けるのが才能なのだ。

 私ができるのはーー幽霊化。

 これは有能なのだろうか。

 壁をすり抜けることはできるけれど、隠れることはできない。幽霊化した身体は見ようとすれば見える。だから、女子が着替えてるのを覗くとか芸術点が高いことはできない。試験で他の人の回答も見れない。

 ほんと意味がないのが才能なのだ。

 あぁ一つだけメリットがあるとすれば、幽霊化した状態にすればすぐ眠りにつけるということ。

 身体から幽霊として離れれば、自然と身体は眠りに入る。すぐに元に戻れば、そのまま意識が消えて夢の世界にいける。

 だから、眠れないってことを経験したことがない。

 さっき着替えが覗けないっていったけれど、深夜に好きな女子の部屋に入って物色したり、ぱんつを広げてみたりなんてことはできる。

 幽霊には指紋はないから、バレることはない。

 怪しまれたりするが、証拠はない。ちなみに監視カメラには映らない。

 だって、タンスの中に入ってるのを透視するようなカメラは存在しない。幽霊にとっては壁なんてないようなもの。視覚に至っても、暗くても関係がない。

 私のことは親友だといってくれる友だちに何をしてるんだと言われそうだけど、好きなんだから仕方がないんだ。愛は深いんだ。同性であっても構わない。

 泊まりにきたときは絶対一緒にお風呂に入る。同じベッドで眠る。

 眠ってさえいれば、幽霊になる必要もなく下着をくんかくんかしながら、賢者に至ることもできる。

 まぁ……こないだバレて、怒られた。

 どうして自分にしないのか……だって。

 私たちは既にお互いを好きだったらしい。

 わざわざ幽霊になんかならなくても、彼女をどうにかすることができたらしい。

 その夜は長かった。

 いろんな声がでたし、いろんな声を聞けた。


 結論。


 恋人になるには先祖返りなんて才能は必要ない。

 必要なのは、好きと相手にきちんといえる勇気ーーただそれだけなんだ。

 あれから10年。

 彼女は母親になった。

 私との子どもだ。

 彼女の先祖返りは、同性での妊娠。

 何年か一緒に性行為をして、ある時教えてもらった。

 その時にはもう妊娠してた。男と女であれば、性器が体内に入り込んで直接卵子に精子を送り届けることができる。

 女と女にはそんな便利な棒はない。

 なので貝合せのようにひたすらラブシャワーをぶつけ合うしかない。

 だから、中学、高校、大学といっても妊娠したという自体にはならなかった。

 社会人となった私は、妻であり夫である彼女との子どもが楽しみでいきいきしてた。

 すごくめんどくさいけれど、生きてくには必要なことなんだ。

 だから、あなたも生きることを諦めないで欲しい。

 ひょっとしたいたずらから始まる物語もあるのだから。

 

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