ドラゴンの解体師〜ドラゴンを解体していたら、王族が熱い眼差しを向けてきます。なぜ!?〜(旧題 この国唯一のドラゴン解体師をクビってマジですか!?)
第1話 この国唯一のドラゴン解体師をクビってマジですか!?
ドラゴンの解体師〜ドラゴンを解体していたら、王族が熱い眼差しを向けてきます。なぜ!?〜(旧題 この国唯一のドラゴン解体師をクビってマジですか!?)
おしゃかしゃまま
第1部 この国唯一のドラゴン解体師をクビってマジですか!?
第1話 この国唯一のドラゴン解体師をクビってマジですか!?
「じゃあな、アナトミア。もう二度と会うこともないだろう」
雇い主である魔獣省のお役人マコジミヤから背中を蹴られるように、1人の少女が追い払われる。
彼女が出てきたのは、大きな石の建物。
ドラフィール王国の役所だった。
「うわぁ、本当に追い出された」
ヨレヨレの服に、手入れもしていないボサボサの黒い髪。
眠そうな顔をしながら、アナトミアというまだ17歳の少女は、唖然としながらつぶやいた。
荷物は巾着袋が一つ。
少ないが、アナトミアの私物はこれだけでまとめることが出来た。
「まさか、こんなことになろうとは」
アナトミアは思い出す。
それは、1時間ほど前のことだ。
突然、雇い主のお役人マコジミヤから給与を減らされると言われたのだ。
元々、アナトミアの給与はそこまで高い物ではなく、実家への仕送りのことも考えると、ギリギリ生活できるほどにしか貰えていなかった。
そのため、普段はお役人の言うことを素直に聞いていたアナトミアも、この時だけで反発した。
給与が減らされることだけは、やめてください、と。
すると、マコジミヤはあっさりとアナトミアのクビを切り、荷物をまとめて出て行くように言ったのだった。
「・・・・・・これからどうしよう」
アナトミアはアテもなく歩き始める。
「お仕事を探さないと・・・・・・でも、あるかなぁ」
おもむろに、アナトミアは巾着袋に手を入れた。
そこには、アナトミアの仕事道具が入っている。
アナトミアが取り出したのは、見事な輝きを放つ、一振りの剣。
「ドラゴンの解体師なんて職業、滅多にないんだけど」
ため息と共に、アナトミアは剣を巾着袋に戻した。
小さな幾つもの島からなる、ドラフィール王国。
この国は、別名「ドラゴンの国」とも呼ばれている。
その由来は、この場所は数多くのドラゴンが保養のために訪れるからだ。
さらに、近年はドラゴンの素材を多く輸出するようになり、ドラフィールは豊かな国へと成長している最中である。
「・・・・・・ドラゴンの解体をしたい!? バカを言え、そんなのは国の仕事だ」
「そうですよねー」
アナトミアの就職活動は暗礁に乗り上げていた。
お断りをされることすでに10件。
ドラゴンの素材を取り扱っているお店に行っては、ドラゴンの解体をしたいとお願いしているのだが、反応は皆一緒であった。
「そりゃ、そうだ。私もドラゴンの解体なんてしているとこ、お役所しか知らないし」
ドラゴンの体は、肉や皮、内臓、骨にいたるまで、あらゆる部位が非常に高値で取引されており、その体の解体は、国が担っていた。
なぜなら、ドラゴンの体は通常の方法では解体出来ないからだ。
特殊な器具と、特殊な技術が必要なのである。
アナトミア自身も、自分の師匠以外に、ドラゴンの解体をしている人物を見たことがなかった。
「うぐぐ・・・・・・齢17にして、ドラゴンの解体以外にまともな仕事をしたことがないのに・・・・・・このまま、飢え死に?」
アナトミアは頭を振る。
「故郷に帰ればどうにかなりそうだけど、戻るお金も無いし。なんとかお仕事を探さないと・・・・・・もう、ドラゴンの解体がしたいなんて、贅沢は言ってられない」
アナトミアは、ドラゴンの素材を取り扱っている店が立ち並んでいる区画を後にする。
そこにあるのは、どれもがアナトミアが解体したドラゴンの素材であることを彼女は知っていたが、特に気にもしなかった。
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