家出
GW、有給を使いまるっと1週間帰省した。
その後、出社しなければできない案件が振られて連休明けから数日、家には寝るためだけに帰るような生活になった。
在宅に慣れてしまったため、常に人の目線がある会社だと気を張るし何より身だしなみを整える時間も含めて普段より早起きしなければいけない。
帰ったらシャワーを浴びて布団に入る。それだけしかできないことが数日だが続いた。
早く寝なきゃいけない。怪異くんが邪魔してきたらガチギレしてしまいそう。
そう思いながらも、邪魔されることなく出社期間は終わった。
気遣いできる怪異くんだ。私が眠気で限界なのと明日も出社ということを配慮してくれたのだろう。
しかし、出社期間が終わって2〜3日して気付いた。
ラップ音がしない。
人が来ている時以外、必ず鳴っているラップ音が仕事中も全くしないのだ。
寝る時に電気を消すと昼間より活発になる傾向があるのに、夜もラップ音がしない。
部屋で時計の秒針が動く音しかしないと、秒針の音がかなり大きく聞こえると知った。
家出だろうか。今まで1週間誰も家にいないときはなかった。
いや、家出といっても元々住ませているわけではないし、いなくなっても良いことしかない。やっとラップ音との生活から解放された。嬉しい。
そう思って雑音がない快適な日々を過ごしていた。
しかし、そう長くは続かなかった。
以前から部屋のドアを閉じて寝るようにしたと書いたが、今も同じように寝ている。
そのドアに何かが何度もぶつかる音が電気を消した途端し始めた。
ああ、帰ってきたんだ。帰ってこなくていいのに。
同じ個体かはわからないけれど、ドアに何かが当たる音が何度も何度もしたあとカチャッという音がした。ドアを開けたのかと思った。
閉めた音かもしれないが。
その音がした後、部屋の中でラップ音がし始めたので部屋の中に入れたんだな。と思い、無視して寝た。
怪異くんの音が気になってなかなか寝付けなかったからか、翌朝始業5分前に目が覚めた。
在宅でよかったと心から思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます