アタシ、賢いからわかっちゃった!!
冬原水稀
1.ギャルは気づかず人を救う
ネコ拾っちゃった!!
ふんふんふーん。
鼻歌を歌いながら歩いていく。今日のアタシのテンションはちょーあがってる!! だって今日のメイクめっちゃ上手くいったから。アイラインこんな上手く引けることある? ってくらい引けた。ナスカの地上絵描いた人間くらいにこの線はヤバい。今日のアタシの目元だけで世界遺産認定されちゃう。ヤバすぎ。それにオキニの口紅つけてきたしさ。顔面国宝指定したほうがいいよね、今の顔。
あ、すっぴんはNGね。んなもん顔面国宝認定するどころかママパパ以外誰も見なくていいです。
スカート丈上げるためのベルトも、最近まで生理痛をぎりぎりと締め付けてたけどそれもおわったからさぁ!! 解放感に満ち溢れてんのよ。痛みなくスカート短くできるって素晴らしい。ギャルはオシャレが命なんだからね。
というわけでアタシはるんるんな気分なのだ。
あとね、こっちがもっと大事なんだけど。
学校行く途中でネコ見つけたから。
ネコだよ? ネコやばくない? ノラなんだけどさ、茶色に白ぶちついててチョー可愛いの。しかもふわふわ。最強じゃん? 飼うしかなくない? でも無理だアタシのママネコアレルギーだった。
「あ~~~んこんなカワイイ子お迎えできないなんて今アタシ人生の十七分の一くらい損した! アタシの今年一年分損した! あーあ!!」
にゃあ、と鳴いたネコ。
うんうん、いい子だねぇぇぇアタシに飼われなくてお前も悲しいんだよねぁぁぁ分かるぅぅぅ!!
せめて誰か引き取ってくんないかな。
いい人に拾ってほしいよね、元の場所に戻すってのはロンガイだし。
というわけで今アタシは「ここ」に立ち止まる。
やっぱアタシって賢いからさ、ネコの引き取り手を探すのも楽勝ってワ・ケ!
「あ……あの、そこで、一体、何を?」
きたきたきたぁ!!
顔を上げると、そこには一人の女子高生。制服を見た限り、おんなじ学校のおんなじ学年って一目で分かる。そのネクタイのイケてる(笑)ライトグリーンがその証拠だぁ!!
一周回ってオシャレなんよねこの色、ウケる。
髪色は黒。ふわふわとしたミディアムにおっとりとした目がチョー真面目そう。スカートの長さ規定通りじゃん。マジ? でも、なんかめっちゃ信用度爆上がりした。だってネコのこと大事にしてくれそーじゃん。あと声かわいかった。これ大事。
「ちちちはーっす!!」
「ち、ちは……?」
「突然だけどネコきょーみない? 飼ったことある? 茶色の白ぶちちゃんが!! ちょーかわいいネコちゃんが!! いるのだが!!」
「え、あ、あの待って、確かにかわいいんですけど、待ってください!」
ハッ。まさかママと同じでネコアレルギーとか? それはマジで悪いことした!
「そのネコさんは、拾ったんですか……?」
「うん、でもアタシの家じゃ無理だってあとで思い出して、引き取り手探してた!」
「ま、真面目ですね……? いや、真面目じゃないですね……」
なにをー!? アタシはいつだって真面目でめっちゃ賢いよ!
おネコ様を抱きながら、アタシは大きく胸を張った。張る胸はでかいぜ。
「いやだってその、今、授業中ですよ……?」
──キーンコーンカーンコーン……。
アタシとネコと名前も知らない女の子。
高校の飼育小屋のド真ん中で、一限目終了の鐘がバカでかい音で鳴った。
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