剣(=私)は絶対使わない!!

冬原水稀

目覚め

 ……目が覚めたら、目の前に知らない男の子の顔があった。


 日に当たってキラキラ光る金髪。

 空に浮かぶわたぐもみたいな、ふわふわ優しい灰色の瞳。

 透き通る白いほっぺたにはほのかな赤みが差して。


 すごく綺麗な顔をした男の子だな、なんて私はぼんやり思った。まるで、本に出てくる王子様みたいじゃない?

 その「王子様」は、何だか驚いた顔をしている。

 王子様の顔が、近づいてくる。


 ……違う。


 私が王子様に向かって「落ちて」いるんだ。

 落ちている? 何で? どういう状況? 疑問が頭を埋め尽くすけれど、顔はどんどん近づいてくる。そして、


 ──ふにっ。


 口に何か、柔らかいものが当たって……え?

 えっ?

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