第46話 ギルドへ

 ギルドへ戻る途中に来週の予定を確認した。

「今週は、明日の風の日は休みにして、土の日が空くけど日帰りでは5層ぐらいしか行けないので休みでいかな?」

「元からそのつもりだったので、問題ないよ。」

 マリが、代表して答える。神の日はパーティでの活動は基本やらない。採掘クランの様にダンジョンに入り浸りなら別だが、街の人に良い目で見られないので自粛するパーティが多い。

「来週の月の日は、ケイトのD級昇格試験なので、火の日からの活動になる。ケイト、試験は2日かけて良いけど、1日で問題ないよな。」

「ビッグゴッグ倒すだけなら日帰りで問題ないよ。」

「そこで、水の問題が解決してパンの補給を受けられることになったので、火~土4泊5日で10層を目指そうと思うんだけど、どうだろうか?」

「僕は良いけど、ツグトは来週ギルドで計算の手伝いがあるんじゃないのか?」

「月の日には、データが揃っているので、1日で片付けるよ。」

 ケイトが、ギルドでの計算手伝いの予定を指摘してくれたので、1日でできそうだと答える。

「私たちもそれで良いよ。今後も同じパターンでいいんじゃないか? 月の日は講習会とか昇級試験が入る時があるし、神の日と月の日はお休みってことで。ミャオ、それで良いよな。」

「5日続けて、探索できてうれしいのにゃ。問題ない無いのにゃ。」


 休憩もそこそこに、階層主戦が無いとは言いながら1階層1時間で踏破し、午前中に6階層へ2階層から1階層へ降りる時には、日が暮れかけており1階層は走りっぱなしで何とか日暮れと同時に出口に辿りついた。

「9層から降りるには、朝から降りないと強行軍にゃ。」

 走り付かれたミャオが珍しく文句を言った。

「ゴメン、もう少し余裕があるかと思ってたけど、9層からは流石に1日に見ないとしんどいね。」

 ミャオと皆に、計画の悪さを詫びてギルドに戻り報告と魔石,ドロップ品の買い取りしてもらい、ギルドの食堂で食事しながら分配をした。

「4分割して、

 魔石代が一人:21,500ゴル、

 鉄鉱石2個4,000ゴル 大きい鉄鉱石16,000ゴルで、一人:5,000ゴル

 ミスリルが3個60,000ゴルで、一人:15,000ゴルになった。

 合わせて一人当たり:41,250ゴル

 鉄鉱石は、ビッグゴーレムからのドロップが大きかったけど、単体ではミスリルのドロップが大きいね。」

「やっぱり、9層で暫く探索するのがよさそうだね。」

 4万ゴルあれば、4人家族なら3ヵ月分は余裕で暮らせる額だ。ミスリルが額も大きいが、今回は大きい鉄鉱石のドロップが大きかった。分配を終えて、総括の金額の話をすると、ケイトが9層を活動のメインにと締めくくり、今回の探索は終了した。次は、神の日に全員で買い出しの約束をして解散した。



***

 あくる風の日、流石に疲れたのか昼前に起きて、屋台で食事した。余分に買った食料と水を持って、一人でダンジョンに来ていた。一人でダンジョンに来たのは、スケルトンジェネラルと再戦するためだ。


 パーティで来ると、パーティでの挑戦となり一人で闘えないため、2日間の休みを利用して再戦に来たのだ。昼からダンジョンに入り、日暮れまで1時間という所で、5層の大口ワームエリアに来ている。ここまで、1層を1時間で踏破しているが、大口ワームの砂漠は流石に1時間でクリアするのは難しい。6層へ行くのは諦めるが、日暮れまで砂漠で大口ワーム狩りをしていたら、たまたま大口ワームの巣を見つけてしまった。


 一人で巣に臨むのは止めようと引き返そうとしたら、向こうに気付かれて追いかけて来た2匹を引き連れて走っていた。相手が2匹なので、巣から少し離れた所で飛ぶ斬撃で迎撃した。


 2匹を倒してしまうと、巣には2~3匹が残っている事になる。そうなると、欲がでて倒せないか覘きに戻った。中をみると3匹が残っているのでできるだけ近づいて飛ぶ斬撃で攻撃する。1匹を倒せたので残りの2匹と対峙して1匹づつ倒す。巣に有った魔晶石を回収して4層の階層主エリアに戻ってきたところで、ちょうど日が暮れた。


 屋台で買って来たもので食事を済まして、魔晶石を見る。魔晶石は、魔力を流し込む事で魔力を溜める事ができる。後は寝るだけなので、残った魔力を全て魔晶石に流し込んでみる。


 魔晶石の魔力を魔力が減った時に逆に吸い上げられないか、前から、一度試してみようと思っていた。明日のスケルトンジェネラル戦で1回で討伐出来なければ、休憩時に試してみようと思って、半分ぐらい魔力を流し込んだ魔晶石を荷物の中に仕舞い込んで眠りについた。


 次の日、朝から出発して、5層を2時間で踏破した。階層主の大口ワームも口の隙間に飛ぶ斬撃を捩じりこんで、怒って口を開けて突っ込んで来るところに、3発の飛ぶ斬撃を叩き込んだら、仰向けに倒れ込んだので斬撃で空いた穴から剣を突っ込んで2つに切った所で光の粒子に消えていった。


 6階層のスケルトンは身体強化もせずとも、剣に魔力を纏わせるだけで対処して、MPを節約しながらスケルトンジェネラルの屋敷に辿り着いた。30分程、屋敷の前で休憩して呼吸を整えながらMPを回復させる。体感では4時間休むと空になったMPが全回復するのだが、節約しながら来た事もあり30分も休めば8割程度には戻ったので、スケルトンジェネラルの屋敷に入る。


 身体強化をして剣に魔力を纏わせて、スケルトンジェネラルと対峙する。左右の剣を受け流されても体制を崩されない程度に抑えて切りつける。受け流されて、反撃された剣を今度はこちらが受け流す。そうやって何十合か打ち合わせていくうちに、だんだんと受ける動作の無駄が省かれていく。何せ、受け流しの見本が目の前にあるので、その動きをトレースしていくと、どんどんと無駄が省かれていく。前は、受け流し損ねて少しずつ削られていたのが、今回は削られる事がなくなった。打ち合いが300合を超えたあたりで感覚的にMPが半分を切った様なので、一度剣を引き、後ずさってドアから外に出る。引く相手には、階層主は追撃をして来ないので、問題無く外に出れた。


「はぁ、はぁ、はぁ、」

 息を整えながら、先ほどの闘いを振り返る。体感的には1時間ぐらい闘っていた様に感じたが、300合(打ち合った数は数えていた)では恐らく10分程度だろう。

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