続ける力 ~諦めない心~
ワンマイル
第1章 辺境の村
第1話 プロローグ
僕の名前はツグト、この国(ネメア)の辺境のカール村に産まれた。今年12才になる男の子だ。ダークブルーの瞳にダークブラウンの髪で身長は140cm。小さい頃から、剣を振っているので多少は剣が使える。
お父さんはの名前はゴウ。鮮やかなブルーの瞳に、僕と同じダークブラウンの髪。筋骨隆々のゴリラ体型だが、昔怪我をしたらしく、左足を引きづっている。この村の村長であり、冒険者ギルドのギルドマスターを兼務している。この父に剣を教えて貰った。村は、人口200人(40軒)程度の小さな村だ。訪れる冒険者なども少なく、日ごろは、畑を耕す農民であり農具などを作る道具屋も兼務している。
お母さんの名前はメグ、元冒険者で父と同じパーティに所属していたらしい。後、2才年下の妹(ユメ)がいる。
年に一度、春になると12才になった子供たちを集めて、レベル上げが行われる。そう、この世界にはレベルという不思議な現象?がある。レベルが上がると、筋力,俊敏性,魔法実行能力(MP)が上昇するそうだ。この世界には魔法も存在する。魔法が使えるかどうかは、ファイアーと唱えて手のひらに炎が発生するかどうかでわかるが、残念ながら僕には魔法の才能が無いようだ。母は、火と水の魔法が使えるので日頃の家事にも使っている。父は、剣の戦士で魔法は使えないと言っていた。しかし、魔法の才能が無くても魔素を体にまとう事で身体能力を上げることができ戦闘力を上げている。
しかし、何もしていないとレベルは1のままだ。辺境の村では、魔物に襲われたときに低級魔物程度には対応できるようにレベル上げを実施する。この村の成人の多くは3~7レベルだ。それぐらいのレベルがあれば低級魔物には対応できる。自衛能力を高めるため、12才になった時点で2~3レベルになるようレベル上げを実施する。レベルは魔物を倒したときにアップするといわれている。今回の対象になる子供は全員で5名いる。村の冒険者ギルドで発行できる唯一のFランクギルドカードを発行してもらい各自カードに一滴血を垂らすことで登録を終わっている。ギルドカードは、ランクによって表示できるレベルに制限がある。レベルはカードに記載され、都度更新される。Fランクカードは10レベル迄が表示でき、10レベルに達するとEランクレベルカードに変更する必要が出てくる。ちなみに、各ランクのカードの記載レベルは以下となっている。
Aランク:71レベル~
Bランク:~70レベル
Cランク:~50レベル
Dランク:~30レベル
Eランク:~20レベル
Fランク:~10レベル
集めた子供たちを前に、父ゴウが声をあげる。
「いいか、お前達。これから剣かこん棒を配るので好きな方を選んでくれ。討伐対象はゴブリンと犬型魔物のワンタだ。引率の大人がこん棒で魔物を弱らせるので、各自隙をみて必ず一撃を入れること。わかったか~!」
「はい!」
と5人のこども達は一斉に返事をする。ゴウが更に説明をする。
「レベル19のキースには、ヤマト,サラ,ツグトについてもらう。13レベルのサイドと12レベルのコール
には、ジャンとミラを頼む。4人のパーティで、低レベル魔物12体を目標に狩ってもらう。今日から3日で狩ればいいから、1日で4体倒せるように頑張ってくれ。」
魔物を倒すときに一撃でも入れれば討伐寄与したとみなされ、レベルアップの経験値が溜まる。低級魔物は一人で3体を倒せば1レベルから2レベルに上がると言われている。2レベルから3レベルは4体、以降レベルが上がる毎に必要な数が1体づつ増える。30レベル以降は中級の魔物が3体、4体となる。中級の魔物は低級の魔物10体分と言われている。60レベル以降は上級魔物3体、4体となり、上級魔物は中級魔物が10体分だ。
倒した低級魔物の経験値を4人で分けるので12体を倒せば、全員1レベル上がる計算だ。ツグトの組は比較的身体能力が高いメンバーを配置することと19レベルのキースおじさんを配置することで子供3人のパーティとなっている。ゴウは、34レベルのCランク冒険者だが、足を怪我で引退したので引率をするには無理があり、その次にレベルの高い3人の村人にサポートを頼んでいる。戦えば強いが、森を歩き回るのが難しいのだ。
僕は、片手剣を選んで皆と共に村から少し離れたスードの森へと出発した。
ヤマト、サラ、ジャン、ミラとは、同い年で幼馴染になる。同じパーティのヤマトは短めのこん棒を両手に持っている。サラは、片手剣より短くナイフより長めといった剣を持っていた。僕はヤマトに話かける。
「ヤマト、ワンタって見たことある?」
「ゴブリンはあるが、ワンタはないな~。犬型なので、狼型のほどの脅威は無いて聞いてるけど。」
といった会話をしながら森の中の分岐点に来たので、パーティごとに左右に分かれて進んでいく。キースおじさんが、皆に話す。
「ここから先は魔物が出てくる。中レベル以上の魔物が出てくることは滅多に無いが、もし遭遇したらおじさんが相手をしている隙に村迄引き返してギルドマスターに報告してくれ。低レベルでも3匹以上の群れなら同じだ。2匹迄なら、1匹をおじさんが相手をするからヤマトとツグトの2人でもう1匹の相手をしてくれ。
サラはおじさんが相手をしている魔物の隙を見て一撃を入れること。ワンタは、左右から手を出すと、どちらの相手をしていいか判らなくなり、動きが止まるのでその隙に倒せ。ゴブリンは、一人にしか向かってこないから、向かってきた方が防御でもう一人が攻撃だ。」
「「「了解」」」
そんな話をしていると、こん棒を持ったゴブリンが一匹で出てきた。ゴブリンは、緑の肌で茶色の髪。背の高さは、少し低く150cmぐらいで、ツグトよりコブシ一個分ぐらい高い。頭のてっぺんには、小さな角が生えている。キースおじさんが前に出て、こん棒の攻撃を防いでいる間に、僕たちは一撃づつを入れることができた。皆が攻撃し終わるのを待ってキースおじさんは頭に剣の一撃を入れて止めを刺した。倒したゴブリンは、心臓部にある魔石(小)を取り出して、開けた場所に運んでいき、焼いてしまう。火属性の魔法が使えると、魔法で焼いてしまえるのだが、だれも属性を持っていないので、持ってきた油をかけて処理をした。そんままにしておくと、魔物が集まってくるので小まめに焼いていくのが基本だ。
2匹のワンタが出てきた。ワンタは少し大きな犬程度の大きさなので、そんなに脅威を感じないが、鋭く伸びた牙と強靭な爪には注意が必要だ。言われた通り左右から攻撃を仕掛けて動きがフリーズしたところで順番に攻撃して倒すことができた。ミラもキースおじさんの横から一撃を入れれたようだ。その後も、2体のゴブリンと1匹のゴブリンをそれぞれ倒し、午前だけで6体を倒すことができた所で、昼休憩に入った。キースおじさんが言う。
「今年は、ゴブリンとの遭遇が多いな。普通は半日なら2~3匹が狩れたらいい所だが、ゴブリンだけで4匹だ。狩りの間は、できるだけ纏まって行動するように。」
みんなは、頷いて持ってきた弁当を食べ始めた。
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