異世界転移した先で最強お嬢様とその執事と一緒に冒険する話

@satouti

第1話,出会い

異世界に転移した時普通はどのような状態でスタートするだろうか?


街中に突然飛ばされる?

洞窟や山奥に飛ばされる?


様々な転移方法があるだろう。


ちなみに僕の場合は気づいたら山奥にある館の庭にうつ伏せの状態飛ばされていた


僕の最後の記憶は引きこもっていて全く外出せずろくに運動していなかったので数年ぶりに腕立て伏せをせてみて六回目でダウンしたところで終わっていた


いやちょっと待てこんなクソ雑魚フィジカルでこの世界で生きていける気がしない


だってさっきからクマとライオンとサメの鳴き声を混ぜたような声が聞こえてくる


いやサメは鳴かないか


とにかくこの世界で一人で生きていける気がしない


とりあえずこの館の人に助けを求めるか


いやしかしなんと説明すればいいんだ


「異世界から転移してきました。助けてくだしゃい☆」

と言ったところで頭のおかしいやつだと思われて冷たくあしらわれるに決まっている

てゆうか日本コミュ障オブザイヤー最優秀賞である僕が会ったことのない人とまともに会話できると思えない


さっきから何言ってんだろ


それに言葉が伝わるかもわからない

一体どうすればいいんだ


そんな風にうつ伏せの姿勢をやめずに考えていた時だった


「ガチャ」


館のドアが開いた

中からは僕のお嬢様像を体現したかのような姿をした女とその執事らしき人が出てきた


どうする

僕と彼女らの距離は約20メートル。玄関でもたついているらしくまだ僕に気づいていない

逃げるか 助けを求めるか

悩んだ結果僕は


気絶しているふりをすることにした


それから数秒後、お嬢様らしき人とその執事が僕のことに気づき走ってきた


「お嬢様!! 近づいてはいけません」


「でもこの人意識がないみたいよ」


「しかしここにいるということは侵入者で間違いありません

今すぐここで召されてもらいます」


おそらく僕は選択を間違えたようだ

僕の第二の人生は5分で終了するのだろう

つうか召されてもらうってなんだよそっちのほうが怖いよ

そんなことを考えていると


「今ここで召されてもらっても別にいいけどそしたらどうやってこの館に入っていたか分からないままで終わってしまう。今後の警備強化のためにも一旦彼を助けましょう」


「しかし!!」

「いい?これは命令よ。それにここで召されられたら庭に出るたび思い出してしまうわ」


「……わかりましたひとまず私の部屋に運びます」


「ええ。そうしてちょうだい」


どうやら僕は助かったらしい。このポジティブお嬢様に感謝しなくては


そうして僕は目を瞑ったまま執事の部屋のベッドに運ばれた


執事さんのベッドはあまり良いものではなかった

なんというか硬い

ふかふかしてない

この世界はベッドは硬めの方が好まれるのだろうか

それともそこまでの技術がないのだろうか

寝具って大事だと思うのだが


しかしこんなことを考えていても仕方がない

これからどうしよう

起きたらころさ……召されそうだし

ひとまずいい考えが浮かぶまではこのままでいよう



それからどれだけ経ったのだろうか

あれからずっと考えていたが全くいい案が浮かばなかった

日はまだ登っていることから何十時間も経っているわけではなさそうだ


ていうかさっきから誰もこの部屋に来ない

おかしくないか? 普通侵入者を一人でベッドに寝かせるものだろうか

もしかして僕を拷問するための準備でもしているのだろうか

なんだか怖くなっていた


そんなことを考え始めて5分ほど経った頃だろうか

こちらに向かう足音が聞こえてきた

僕は狸寝入りを決め込む構えだ

そうして僕が寝ている部屋の前で足音が止まった

ドアが開いたようだ

誰がきたんだ

さっきの物騒な執事か? 

それとも他の従者か?


「あら。まだねてたのね」


声の主はさっきのお嬢様のようだ

なぜだ?

普通、お嬢様が侵入者のいる部屋に来るものだろうか足音の数的におそらく一人できたようだし

一体何を考えているんだ?


そんな時だ

彼女の足音がこちらに近づいてきた

そして僕のすぐそこで止まった

それから彼女は僕の眉間に指を乗せた

そして指を離すと彼女は

笑い始めた


一体彼女は何を考えているんだ

そう思った時だった


「貴方そろそろその気絶したふりするのやめたら?

ねえ、萩原海斗君?」


「!?」

なんでこいつ僕の名前を知っているんだ

ていうか意識があることに気づいている?

一体どうゆうことだ

ここは現実世界なのか?

いやそれにしたって僕みたいな不登校歴4年、高校には入学式以来行っていない

僕の名前を知っている人なんて


「言っておくけど、ここは貴方が住んでいた世界とは違う世界よ」


「!?」

なんで僕がここの世界の住民ではないとわかるんだ

こいつは一体なんなんだ

もうわけがわからない

とりあえずこのまま寝たふりを続けていても仕方がないので起きることにした


目を開けゆっくりと体を起こす

目を開けるとそこにはRPGとかに出てくるそんなに高くない宿みたいな部屋にすんごく可愛い少女が一人僕のことを見つめていた

「あら、やっと起きた?」

「…………はい」

「あ…‥あの僕は」

そう言いかけた時だった

さっきの執事が大慌てで部屋に入ってきた

「お嬢様!!この部屋には入らないでくださいて言いましたよね。なんでここにいるんですか!もし襲われたらどうするんですか!」


「あら大丈夫よ。私強いもの。」

「お嬢様の強さは私が一番よく知っています。しかしもしものことがありますから!」

「はいはい、わかったわよ。でも安心して。こいつは少なくとも私たちに敵意はないわ」

執事がこっちを睨んできた

「おい貴様、何者だ。どうやってここまで入ってきた?」

「え……あの…その、気づいたらここに」

「そんな馬鹿げたことがあるか。貴様いつまでもふざけてるようであれば殺すぞ。」


ついに隠すことをやめたようだ


「彼の言っていることは本当よ。」

お嬢様が割り込んできた

「さっき彼を覗かせてもらったわ。どうやら彼は腕立て伏せをしていて気づいたらここにいたらしいわ。しかもどうやら私たちとは違う世界で。」


「少年よさっきの無礼を詫びよう。本当にすまない」


この執事、お嬢様のこと信じすぎじゃないか?

いやちょっとまて、今お嬢様はのぞいてみたと言った

もしかしたらお嬢様は人の記憶を見ることができるのかもしれない

お嬢様が言うようにここが元いた世界と違うのならばない話ではない

それに執事が話をすぐに信用したことにも矛盾しない

このお嬢様すごすぎない?


…‥ちょっと待て


「失礼ですが貴方はさっきのぞいたと言いましたよね。どこまでのぞいたんですか?」

僕が尋ねると彼女はニヤリと笑った後に言い放った


「そうね、大体彼方が中学時代好きだった女の子に3日間考えた特大ポエムを送ったあたりからかしら」


「!?」

「ええっと、確か内容は


君は僕の太陽だ。そして僕は君の月になりたい。僕は」


「やめろーーーーーーー!!」


こいつなんてやつだ。悪魔か?

よりにもよって俺の忘れ去りたい黒歴史集第二位をこうも簡単に言いやがって


「君にとって僕はどんな…」

「たのむ…やめてくれ」

彼女は僕が止めているにも関わらずスラスラと僕のポエムを読み上げる


「…………これは」


おい執事引いてないで止めろや

おいお前なんで自分の胸に手を当てて天仰いでんだよ

なんかもう諦めてんじゃねえか


そうして彼女は僕が書き上げたポエム425字を完璧に読み上げあがった


「萩原海斗より」

「……ころし、ころしてくれ」

「あら、ちょっと意地悪しすぎちゃったかしら」

「お嬢様、ちょっとどころではありません。私なら間違いなくその場で死を選びます」

「おい、大丈夫か?安心しろこのことは誰にも言わないから。

その、誰だってそう言う時期があるか」


「太陽」

「………ww」

おいこらてめえ何笑ってんだ


「お嬢様w、やめてw差し上げてくださいw。誰だってまちwがいはおこすものです。ですから」


「月」

「アハハハハハハハハハハ」


俺はこいつらを絶対に許さない

絶対この悪魔どもに制裁を

俺はそう心に決めた


「さて、そんなことは置いておいて

貴方、どうやら困っているそうじゃない?どう私たちの仲間にならない?」


「…………はあ!?」


こいつ正気か?

こいつは俺の尊厳を踏み躙っておいて仲間になれだと

ふざけているのか

「貴方今自分で何言っているかわかってるんですか?尊厳を踏み躙った私と仲間にならない?って、正気ですか?」


「ええ、正気よ。さっきのはちょっとやしすぎたと思っているけど」

「そう思うならなんで」


「両者のメリット方が大きいからに決まっているでしょう。

いい?貴方のメリットは安全と衣食住が手に入ること

私のメリットは私の小さな夢の手伝いができる人材が欲しいから」


「……夢?」

「私の夢は冒険者になっていろんなところを冒険したいの。そのために貴方は私たちと一緒に冒険者になって一緒にパーティを組んで欲しいの」


「知っていると思うが僕はとんでもなく弱いんだぞ。それなのに僕が冒険者になんかなれるわけないだろ」


「確かに今の貴方は弱い。けれどこのまま私たちの誘いを蹴っても貴方生きていけないわよ」

「……近くの街に行って働く」

「この屋敷から近くの街まで何十キロもいるわ。しかもその間小さな村ひとつない。それに町に行くにはこの山から出なければならない。言っておくけどこの山にはモンスターが山ほどいて確実に遭遇するわよ。そうなったら貴方は確実にモンスターの餌になるわ」


「だけど俺が冒険者になんて。」


「大丈夫よ。冒険者になるには冒険者登録試験に合格にないといけないわ。

次の試験はちょうど一年後。それまで私の執事のイムが貴方を鍛えるわ

彼の剣の腕はこの世界でも5本のゆびにはいるとおもうわよ」


え!?この執事そんな強いの!?なんかそう言われたらすごいオーラが見えてきたような気がする

しかしどうしたものか。と言っても選択肢は一つしかないのだが

だけど自分に嘘はつきたくない


よし、こうなったら正直に

俺は一回深呼吸して言った


「分かった。だが一つ条件がある」

「あら何かしら?」

「さっきのこと俺に謝れ」

「…………今なんて?」

「俺に謝れ!」


俺はこいつに謝罪してほしい。

確かに明らかに僕の方が立場は下だ

でもこいつに謝ってもらわないと気が済まない


「そうね、確かに私は貴方の地雷を踏み抜いた。貴方の一人称が変わるくらいにはやばいのを。

だけど‥貴方、自分の立場、理解してるの?別に私は貴方なんかどうでもいい。ただ貴方のためにわざわざチャンスをあげているの、貴方の命は私が握っているのよ」


「それでも俺は、俺の尊厳を踏み躙ったやつを絶対に許さない」


「だから私に頭を下げろと言うの。貴方面白い人ね。いいわそこまで言うなら貴方、死になさ」


「お嬢様」


「なによ  !?」


執事の方を見ると明らかにキレていた

なんかヤバそうなオーラが出ていた


「お嬢様、私は貴方を人に悪いことをしたのに謝れない人に育てた覚えはありません」


「でっ…でも」

「お嬢様!  謝りましょう?」

「…………はい」

執事さんはとんでもなくドスの効いた声でお嬢様を諭していた


それを聞いたお嬢様は完全に萎れていて半泣きだった


「………その…えっと…」

「お嬢様!!」

「ごめんなさい、少しやりすぎました」

明らかに立場が逆転していた

正直俺も執事さんにはビビった

だがそれより今は


「いいですよ」

正直執事さんが怖すぎてもうそんなことどうでも良くなっていた


「それでは改めて萩原海斗君君は今日から私たちの仲間ということでよろしいですか」


「はい」

こうして僕はこの人たちと冒険者になって一緒に冒険すると言う俺の異世界ライフが始まった



あと執事さんには絶対逆らわないでおこう

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