第三章 無常なる世界

とっ捕まえよう

第19話 少年鑑別所

俺達は走って来てからそのまま滑る様に学校に登校する。

それから各々、教室まで向かう。

何とかホームルームには間に合った.....。

最悪の事態は免れた様な気がする。


でもまあ本当に危なかったと思う。

あのままイチャイチャしていたらどうなっていたのか。

そしてその日はそのまま放課後になる。

智和がニヤニヤしながら俺を見てきていた。


「お前さんは忙しいのう。朝っぱらから」


「こんな感じが俺だしな」


「まあ確かにそうだけどな」


俺は周りに指示をする。

それから教室をメイド喫茶にする為に改造した。

もう飾り付けも済んだ感じである。

後はまあ.....休みの日を待つのみだな。

今週の休みを、である。


「何かその。常盤ってどうなるんだろうな」


「アイツは反省しているとかそんな感じの噂は聞いたが。風の噂だわ。正直何がどうなっているかは分からんな」


「そうなんだな。でも警察に捕まったし無理に情報は聞けないだろうな」


「親も会いに来てないみたいだ」


そんな会話をしていると椿がやって来た。

それからわざとらしく手を広げてから、兄ちゃんのこそっとした話だけどな、とヒソヒソで言い出す。

俺達は?を浮かべて、ああ、と返事する。


すると、常盤に関しては会いに行ける様になるかもしれないぞ、と話した。

今、常盤は少年鑑別所に行ったらしいからな、とも喋る。

え?少年院とかじゃないのか?

よく分からないが。

というかちょっと待て良いのかそれ喋っても?


「お前。それ機密情報だと思うんだが」


「まあその。お前と俺だけの話にしてくれたらまあ話してやらんでもない、と言ってくれてな。それで話してくれた」


「確か警察署って管轄があるが.....その課なんだな。和宏さんって」


「そうだな。一応はその辺りに関わっているみたいだった訳だが。.....まあでもこれ以上は分からんな」


「.....まあ良かったんじゃないか。仁。取り敢えずは面会.....出来るかもしれないし」


「.....そうだな.....まあ確かにな」


少年鑑別所が拘置所と違って何なのか分からなかったが。

面接の為に弁護士とか入っているんだろうし.....まあうん。

機密情報だろうけど助かったわ。


思いながら俺は椿を見る。

それから、サンキューな。椿、と頭を下げる。

椿は、気にすんな、と笑みを浮かべる。

そして作業に戻って行った。


「.....まあ面会した所で何も変わらないだろうけどな」


「仮にも重罪を犯しているから.....な」


「.....俺が面会出来るかも分からん」


「それは確かにな」


そんな会話をしてから俺は横須賀を見る。

横須賀はテキパキと仕事をこなしていたので.....俺達も混ざる事にした。

それから俺達は遂に完成させる。

メイド喫茶の本店を。

何とか間に合ったな.....。



スマホで調べると少年鑑別所とは.....家庭裁判所で判断が下されるのに資料を集めたりする場所と書かれている。

つまり.....まあこんな場所を経て常盤の審判が下る可能性がある。

まあ俺が面談出来るかどうかはもう定かでない。

もしかしたら親御さんの面.....っていうか来るのか?常盤の親って。

思いながら首を傾げる。


「.....でもアイツは嵌められた身分だし非行が少しだけ軽くなる可能性もあるよな」


俺は考えながら顎に手を添える。

そして考える。

そうかよく考えてみたが.....これで一宮の全てが暴露される可能性もある訳だ。

思いながら俺は悩みながら窓からの夕陽を眺めつつ帰宅しようとしていると。

目の前に七瀬が歩いていた。


「七瀬!」


「.....あ。先輩!」


「.....今日も生徒会か」


「そうです。文化祭で忙しくて.....今日も一緒に帰れません」


「.....そうだな。.....頑張りすぎるなよ」


「.....はい。先輩の為に頑張ります」


俺の為じゃなくて文化祭の為な。

言いながら俺は苦笑いを浮かべてから見る。

すると七瀬は、ですね、と苦笑しながら俺に向いた。

先輩。気を付けて帰って下さいね、とも言われる。


「.....ああ。サンキューな。ちょっと疲れたから帰って寝る事にする。かなり疲れた」


「.....そうですか?じゃあしっかり休んで下さいね。.....じゃあ私失礼しますね。会議があるので.....」


「.....分かった。じゃあな」


そして俺達は別れてから。

そのまま俺は帰宅する。

夕陽を浴びながら.....まあそれなりの感情で、だ。

すると八鹿から電話が。

俺は電話を取る。


「もしもし。八鹿。どうしたんだ。何かあったか」


『お兄ちゃん。.....その。今ね。常盤さんのお母さんがみえたんだけど.....』


「.....何?」


『.....何をしに来たと思う?』


「.....一応今は出るな。.....何をしてくるか分からないから」


『.....うん。だよね』


正直.....八鹿しか居ないの分かって来たのか?、としか思えない。

何れにせよ.....、とは思う。

思いながら、何をしに来たのか、と考える。

このクソ忙しい時にな.....。

考えながら俺は常盤の住んでいた空き家を見る。


「.....」


そういや.....常盤の母親はその。

常盤が変貌する前からは会ってなかったが。

良い人だったな、とは思う。


俺達が母親を自殺で亡くしてからというものたまにお世話をしてくれたから。

追い出したってのは意外だったが。

多分違うんだろうとは思う。

だから信頼は出来るとは思うが.....果たして根本から信頼出来るのかどうなのか。

そうしている間に俺は自宅に帰り着く。


「ただいま」


「.....あ。お兄ちゃん。お帰りなさい」


「.....大丈夫だったか」


「.....うん。大丈夫だったけど.....」


「.....すまんな。遅かったもんだから」


「.....ううん。大丈夫」


そして俺を見てくる八鹿。

俺はその姿を見ながら、何しに来たのかは分からないが今度話を聞いてみようとは思う、と言う。

それから、俺と八鹿も色々とお世話になったしな、と笑みで言葉を発した。


すると八鹿の複雑そうな顔が綻んだ。

そうしてから、だよね、と笑みを浮かべる。

ああ。それで複雑そうな顔をしてたんだな、と思う。

そして八鹿は切り出す。


「.....正直.....何も話を聞かなかったのは悪いって思うから.....」


「.....まあその。根本は悪い人じゃないと思うから。親父さんはそうじゃないけどな。でもその。やっぱり状況が掴めないから慎重にいこうとは思う。仮にも常盤の母親だしな」


「そうだね。.....それは確かにね.....」


「.....」


俺は考え込んだ。

あの人までその。

変貌してなければ良いが。


そう考えながら俺は眉を顰めた。

そして複雑な顔をする。

まあ洗脳はされてないとは思うが.....。

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