第14話 好きという事
意味が分からないものだとは思う。
考えながら俺はあの公園で奈々を見ていた。
何というか.....俺の事。
諦めてほしいもんだが諦めてくれるだろうか。
思いながら俺達は文化祭のメイド喫茶の設立に挑んでいた。
「おう。監督。どうしたら良いかな。この荷物とかは」
「それはまあ.....あっちの方に置いておいてくれないか」
「メイド服とかどないするでアルか?」
「それはもう借りるしかない。.....取り敢えず地元のコスプレ屋に借りる事になるかな.....つーか何でそんな喋り方?」
そんな感じで進んでいく。
因みにだが文化祭の監督は一応もう1名、後程の学級会議で追加された。
それは.....女子の監督である。
助監督といえる感じだ。
その女子は横須賀未奈帆(よこすかみなほ)という。
長い黒髪の少女である。
かなり凛とした感じの少女だ。
俺に対してもかなり冷たいが.....でもやる事はしっかりやってくれるので信頼しながら見ている.....と。
横須賀が俺に近付いて来た。
「長谷くん」
「.....おう。どうした。横須賀や」
「机の配置はこれで良いか確認してくれる?」
「.....女子も男子もやって来た人もみんな喜ぶ様な感じなら何でも良いけどな。そこら辺はお前に任せるけど」
「私に任せても.....」
「お前なら大丈夫だ。しっかり仕事してくれているし」
そうかしら?でもこういうの初めてでよく分からないから、と言いながら横須賀は複雑な顔になる。
俺は、大体こういうのって適当で良いよ。思い出に残れば何でも良いんだ。メチャクチャにならなければな、と答えた。
横須賀はビックリしながら俺を見てくる。
そんな事言われたのは初めてね、と柔和になった。
「真面目が全てなのかって思っている人生だから」
「.....まあ確かにな。真面目って完全抜きには出来ない。だけど.....今回は思い出に残る程度って思って良いんじゃないか。まあ食品の管理とかは油断大敵。しっかりしないといけないけど.....」
「.....そうね。.....しかし貴方に言われると不思議ね。.....何でも真新しく見えるわ」
「.....俺は神様か何か?違うからな」
というか何だコイツは?
俺は、?、を浮かべながら横須賀を見る。
すると横須賀は、じゃあまた仕事に戻るわ、と慌てて仕事に戻る様に去って行く。
そんな横須賀の姿を見ていると横にクラスメイトがやって来た。
もしかして横須賀も陥落させるのかお前は、と妬みの声で、であるが。
コイツら何考えてんのかな?
仕事上の関係だっての。
「嫉妬すんなって。.....そんな感情無いしな。大丈夫だ」
そしてまた苦笑いを浮かべる。
それから見ていると智和が、監督さんや、とやって来る。
何だ?、と言いながら智和を見る。
すると智和は、そろそろ休憩にしないか?、と切り出してきた。
「ああ。休憩か。.....そうだな。この辺りで休憩にすっか」
俺は手を叩いてからみんなを見る。
それじゃみんな!取り敢えずは一時休憩で!、と俺は大声を発する。
するとみんなは、ウェーイ、と各々返事をする。
それからみんな外に動き始めた。
その中で智和が、おう。飲み物買いに行くか?、と向いてくる。
俺はその言葉に首を振る。
仕事をもうちょいしたいからな。
智和に、まだ頑張るわ、と答える。
「おう。良いけど働きすぎるなよ?社畜さん」
「誰が社畜だオメーは」
俺はあくまでそうは認識してねぇぞ。
思いながらジト目で智和を見る。
すると智和は、すまんすまん。何というかジョークだ。.....取り敢えずお前は買って来るのは炭酸系で良いか?、と聞いてくる。
俺は、!、と思いながら。
そうだな。後で金やる。買って来てくれ、と返事をする。
「へいへい。んじゃ行って来ますねぇ」
そして智和は手を挙げて駆け出して去って行く。
その姿を見ながら俺は笑みを浮かべて見送りながら。
1人、教室で作業していると。
あ、先輩、と声がした。
背後を見ると.....七瀬が立っている。
俺を見ながら目を丸くした。
「.....おう?どうしたんだお前」
「私は生徒会の仕事です。.....それでこの場に来たんですけど.....誰も居ませんね」
「.....まあな。.....俺以外みんな行っちまったわ」
「そ、そうなんですね」
「.....ああ」
モジモジする七瀬。
俺も何だか耳が熱くなってきた。
頬も熱くなってくる。
告白されたりしたからな。
それからクソ忙しく言えなかった言葉をハッと思い出す。
そして七瀬に答えた。
曖昧になってしまったが。
「なあ。七瀬.....すまん」
「.....は、はい」
「.....こんな返事になって本当に申し訳ない。.....だけど絶対にお前に伝えたい。.....俺はお前と付き合えない」
「.....はい」
「.....だけどお前の事、この先も大切にしたい。.....だから縁だけは絶対に切りたくない。こんなわがままですまないな」
すると七瀬は話の途中ながらも、我儘じゃ無いです、と顔を上げて答えた。
俺は真っ直ぐに見てくる七瀬を見ながらボッと赤面する。
私は先輩。貴方の事が大好きです。そう思いっている限りは縁は切れないって思っています、と答えてきた。
そうしてから俺の片方の頬に手を添えてくる。
「私は常に貴方の側に居ます」
「.....いや。それはそれで恥ずかしいんだが」
「.....いえいえ。生涯、貴方の側に居るつもりなので」
「.....おま.....」
そして見つめ合う。
何だこれ.....はキスでも出来そうだが。
思いながら居てから、いやいやこの場所は学校だぞ、と俺は煩悩を打ち消す。
そうしていると。
七瀬が、隙あり!、と言って俺の唇に桜色の唇を重ねてきた。
瞬時、何があったか分からなかったが数秒で何が起こったか判り真っ赤になる。
う、嘘だろ!?
「.....お、おま!!!!?」
「あはは。これは先輩が悪いですね。.....ボーッとしているから」
「恋人でも無いのに!」
そんな言葉にもお構い無しに唇を離しながらニヤニヤする七瀬。
それから、じゃあ先輩。仕事して来ます♪、的な感じで弾みながら去って行った。
俺は呆然とその姿を見送り。
そして唖然としていると、押すなコラァ!?、と声がした。
そうしてから雪崩の様に崩れて男子生徒が、女子生徒が現れる。
な、何だ!?
「.....お前ら!!!!?」
「.....あ、あはは。.....つーかバレちまったじゃねぇか!」
「教室で何しているんだアホどもは!?」
「まあ仁だから許そうぜ」
恥ずかしいものを見られた様だ。
女子達も真っ赤になっている。
この野郎ども.....。
でもまあそう言われるのは仕方が無いとは思う。
教室でキスしてしまった.....。
しかも大勢に見られながら、だ。
何てこった。
「取り敢えずはキスしたって事は好き同士で良いのか?」
「バカ野郎。まだ早い。これは見抜かないと」
「.....いや。もうキスしたらこれはもう確定だろ。ボーナスが」
「何だお前はパチンコしてんのか!?17歳だぞふざけんな!」
そんな感じでワイワイガヤガヤとなる教室。
俺は教室に入って来た野郎どもを見ながら柔和になる。
それから俺は、パンパン、と手を叩く。
はいはい!仕事すっぞ!、と大工の頭領みたいに声を掛ける。
そして俺達は、へい!、と言いながら動き出す。
だがそれで切り上げたがそれでも暫くの間の話題は俺の事だった。
いや恥ずかしいんだが。
思いながら俺はむず痒い中、作業した。
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