善光寺市におけるサイコロ事件について
柴田 恭太朗
あらすじみたいな話だけれど、AIは頑張った
善光寺市に住むマヤは二十代後半の女性。ごく平凡なな生活にちょっと飽き飽きしていました。なぜなら市内の銀行で9時から5時まで働き、1日おきにジムに通い、たまに友人と会ってディナーやお酒を楽しむ、そんなワンパターンの生活だったからです。
ある日の仕事帰りのこと、マヤは目の前に何かが落ちてきたことに気づきました。上を見上げても、そこには高い建物もなく、曇り空以外に何もありません。それは空から降ってきたことは間違いないようです。
不思議に思ったマヤは、地面に転がったその小さな物体を指先でつまみあげました。サイコロです。サイコロはエメラルドグリーンの深い色合いをしていて、表面には奇妙なシンボルが刻まれていました。マヤはそれを手のひらの上で転がし、じっくりと観察してみました。すると、まるでサイコロは命が宿っているかのように淡い光が脈動しました。
「あっ」、思わず彼女の口から驚きが漏れます。
光の脈動とともに、不思議なエネルギーが彼女の体中を駆け巡るのを感じたからです。
自宅へ戻ったマヤは、空から降ってきた奇妙なサイコロの力を調べてみたいと思いました。どうしてもその思いつきというか、誘惑に勝てなかったのです。キッチンへ行くと、格好の実験材料がありました。捨てようと思っていた古くてしおれた野菜がかごに入っていたのです。
マヤは野菜の上でサイコロを振ってみると、なんと野菜はみるみる生き返り、色も鮮やかになりました。おそるおそるニンジンの切れ端をかじってみると、驚くことに食感もしっかりしているではないですか。
マヤはこの奇跡を信じることができませんでした。空から降ってきたサイコロのナゾが気になった彼女は、善光寺市の研究所にこの発見を報告することにしました。
マヤの話に最初は半信半疑だった研究者たちも、彼女が持ち込んだサイコロのパワーを目の当たりにして、驚きの声を上げたのです。そして、サイコロがどのように機能し、どこからパワーを得ているのかを理解するために、何度もテストを繰り返しました。
研究員たちはその成果を世界に発表し、サイコロはセンセーションを巻き起こすことになりました。サイコロの持ち主であるマヤのもとには、そのサイコロを見ようと大勢の人たちが集まり、中にはそれを売ってくれと申し出る金持ちまであらわれます。しかし、マヤはこのサイコロが食糧危機を救うかけがえのないものであることを理解していたので、それを売ることを拒否しました。
しかし、サイコロの新たな名声を誰もが喜んだわけではありません。通称「鳥」と呼ばれる集団が、サイコロを自分たちの生活様式に対する脅威とみなしたのです。彼らは自然の力を信じる秘密結社で、サイコロを人間の貪欲さと搾取の象徴と見なしていました。
「鳥」はマヤがサイコロを活用していることを快く思っておらず、研究所へ向かう途中、人目のつかない裏通りにさしかかると、数名の男がマヤを取り囲んだのです。
「サイコロを使うのは、もうやめてくれないか」男の一人が唸るような声で脅しました。 「あんたの技術は危険なんだよ。自然破壊につながるだけだ」
マヤを取り囲んだ男たちが、彼女を取り押さえようと手を伸ばします。
彼女は予想していなかった暴力に怯えながらも、サイコロを奪われないようしっかりと握りしめました。「鳥」のメンバーが迫ってくる中、サイコロを振ると、なんとサイコロからエネルギーが放出されたのです。
サイコロの一角から放たれたエメラルドグリーンの光線は、彼女を背後から羽交い絞めにしようとした男の顔を焼きました。悲鳴をあげ顔をおおいながらうずくまる男とサイコロのパワーに驚きながらもマヤは次の標的を探します。
彼女は左から別のメンバーが殴りかかってくるのを見つけ、電光石火の反射神経で身をかがめて、かろうじて彼の攻撃をかわしました。マヤの手の中のダイスは、まるで生きていて彼女と一緒に戦っているかのように細かく振動し、エネルギーを脈動させました。
「お前はオレたちに勝てない」
「鳥」のリーダーらしき男の声は悪意と憎しみに満ちていました。
「そうかしら」とマヤ。彼女の声は落ち着いて断固としていました。 「私は自分の信じるもののために戦うだけ!」
激しい叫び声とともに、マヤはリーダーに攻撃を開始しました、サイコロが彼女のすべての動きを導いてくれるのです。彼女は自分でも信じられない素早さで電光石火の鋭いパンチとキックを次々と放ち、そのすべてがリーダーのボディに立て続けにヒットしました。
リーダーの動きは充分に速かったけれど、マヤの方が数倍速かったのです。彼女は彼の攻撃をヒラリヒラリとかわし、彼女の動きは飛ぶ鳥のように滑らかで優雅でした。そして、渾身のエネルギーを開放した彼女は全力で彼を殴り、彼を地面にたたきつけました。
マヤはサイコロのパワーを利用して、襲い掛かってきた秘密結社「鳥」のメンバーを撃退することができたのです。
マヤは、サイコロが特別なものであり、世界を変えることができるものだと知っていました。そして彼女は、その力を善のために使い、困っている人たちを助け、世界の食料問題を解決しようと決意したのです。サイコロを手に、心に火をともしたマヤは、自分の存在の本当の意味を発見する旅へと出発しました。
おしまい
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