【Web版】レベルカンストから始まる、神様的異世界ライフ~最強ステータスに転生したので好きに生きます~
反面教師@6シリーズ書籍化予定!
一章
第1話 目を覚ますとそこは
さらさらと聞こえる水音に気付き、目を覚ます。
瞼を開けると澄みわたった青空と、それを覆い尽くさんとばかりに枝葉を伸ばす樹木の一片が見えた。ぱちぱちと冷静に瞬きを繰り返してから僕はひっそりと呟く。
「…………森?」
そうとしか形容できぬ光景が視界に広がっていた。
上半身を起こして周りを確認すると、左右には苔と雑草と乱雑に立ち並ぶ木々。向かって右側には、かすかな陽光を反射して輝く水路——ではなく、緩く曲がった自然の川がある。手元の生々しい感触と鼻腔を抜ける草の臭いが、「これは夢ではない」と如実に物語っていた。
そこまで自らの置かれた状況を理解した時、しかし僕はゆっくりと首を傾げた。
生憎と自分が外にいるのはわかったが、なぜ外にいるのかはわからない。試しに記憶を探ってみたところ、そもそも記憶も断片的にしか思い出せなかった。不思議なことに、忘れている情報の中には己の名前すら含まれる。
「遭難? 迷子? 記憶喪失……?」
脳裏に浮かぶのはどれも不吉なワードばかり。必死になにか重要そうなキーワードを探そうとしても思い出せない。泡のようにかすかな懐かしさを残して弾ける。
もしかすると自分は想像以上に最悪な状況なのかもしれない——と思考が行き止まりに辿り着いた時、遅れて僕は恐怖心を抱いた。顔色が青くなるのが自分でもわかった。
慣れない悪寒が背中を優しく撫でる。思わずぶるりと全身を一度だけ大きく震わせてから、慌てて隣の水面に顔を覗かせる。
透き通るような水色の中には、見慣れぬ男の顔が映っていた。
すぐにそれが自分の顔だとわかる。だが、不思議とその顔に見覚えはなかった。名前を思い出せないくせに、自分の顔くらいはなんとなく覚えている。もっとこう……平凡な顔立ちだった気がする。
つまり。つまり、だ。僕は、僕であって僕ではない?
自分で言ってて意味不明な話だが、思い出せるかぎりの情報と照らし合わせてみると、水面に反射した容貌は
それすらオカシイという事実に、額からじんわり不快な汗が垂れる。ごくりと不安ごと唾を飲み下し、ジッと自分? の顔を見つめながら考える。
——すると、そのタイミングで。
「————うおあっ!?」
目の前に半透明のウインドウが現れた。
突然のことにびっくりして後ろに仰け反る。辛うじて背中から地面に倒れることはなかったが、なぜか僕の動きに合わせてウインドウのようなものは目の前に張り付いたまま中空を浮いていた。まるで鼻先数十センチの空間に強制的に固定されているかのように。
『異世界へようこそ。あなたの人生に多くの幸せがあることを祈っています』
心臓がうるさいほどバクバク早鐘を打っているあいだにも、眼前のウインドウは淡々と白い文字を表面に記した。こちらの都合や心境など完全無視した文章を半ば睨みながら読むと、そこでとうとう、僕のこの異常な状況がはっきりくっきりと判明した。誰に問いかけるわけでもなく、ごくごく自然に口元からその疑問は放たれた。か細い声が音を震わせる。
「…………異世界?」
二度、三度ウインドウに表示された文字を見る。
徐々に意識が落ち着いていく。それを見計らったかのように、半透明のウインドウに記された文字が消え去り、新たなワードを紡ぐ。
『まずは〝ステータス〟と唱えてみてください。ご自身の能力値やスキルなどを確認することができます』
「ステータス?」
やけに強調された一部分、気になる単語を復唱する。その途端。
目の前に表示されていた半径二十センチほどの画面とは別に、五十センチほどのひと回り
さすがにこの異常事態にも少しは慣れたのか、ウインドウが出現した際には驚かなかったが、それとは別のところで新しい疑問と驚愕を抱くことになる。
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名前:マーリン
性別:男性
種族:ヒューマン
年齢:20歳
Lv:10000
HP:500000
MP:300000
STR:30000
VIT:30000
AGI:30000
INT:50000
LUK:40000
スキル SP:50000
≪異世界言語Lv-≫≪鑑定Lv-≫≪インベントリLv-≫
≪女神の加護Lv-≫
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【あとがき】
2024年10月10日、DREノベルス様より発売予定!
私の作品はほぼ全てそうですが、本作もWeb版と内容や設定が大きく異なります。
イラストはXで私とドリコムメディア公式アカウント?が載せています。検索などしても見つかると思いますので、よかったら見てくださーい!
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