湯に花を浮かべて
里中詠
第1話
ドアを開けるとコーヒーの匂いがする。その中にお菓子が焼ける香りが混ざっている日もたまにあって、私は密かに幸せの香りと呼んでいる。今は色んな娯楽が存在する時代だけどなんだかんだ、カフェとかでお金を使うことが一番の娯楽な気がする。無くても困らないけれどあったら嬉しい。ひとつの飲み物とお菓子で笑顔になれるのは本当に素敵なことだと思う。
「おはよう」
「おはようございます」
コーヒーと焼き菓子のお店、mon cheminが私の今の職場である。モンシュマンはフランス語で私のやり方という意味があるらしい。オーナーが自分の好きなようにやりたいからこの名前にした、と教えてくれたのは面接のときだった。店内はオーナーの好きなもので溢れているし、メニューだってそうだった。オーナーが作るお菓子は美味しいし、淹れたてのコーヒーも美味しい。今はまだ上手にできないけど私もいつか美味しいコーヒーが淹れられるようになるはずだし、ラテアートも練習したい。
私は今幸せに溢れた場所で、幸せを届ける仕事をしている。
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