タヌキングの喫茶店読書

タヌキング

喫茶店読書

タヌキングは電車に乗って遠出するのがマイブーム。

ちなみに車の長距離運転嫌いである。

主目的は絶賛公開中の【グリッドマンユニバース】の二回目を見ることだったが、駅の周りを散策しても、目的地のイオン行きのバスの時間まで時間が余ったので、駅前の古めかしい喫茶店で読書をしようとテクテク歩いて行った。

ちなみに初めて入る喫茶店である。


読書をする時は、もっぱら自宅か【コメダ珈琲店】なのだが、今回は古めかしい喫茶店の雰囲気を楽しみつつ、読書と洒落込もうと思っていた。

タヌキングは意外とシュチエーションフェチなのだ。

イメージで少し薄暗い店内で、客は少なめの静かで落ち着いた空間があって、そこのソファーに座って悠々自適に読書をする自分を思い描いていたが、齢30を過ぎているクセに、タヌキングは未だに夢見るオッサンであった。

単的に言えば夢と現実は違うのである。


店に入ると予想より狭ぜまとした店内、忙しそうにしている女店主、四人がけテーブル席にはバリッとしたスーツを着たサラリーマン達が騒がしく談笑していた。

あまりの理想とのギャップにタヌキングショック!!

理想と合っていたのは店内が薄暗いという点だけである。

まぁ、よく考えれば、昼時で駅前の喫茶店なのだから客が多いのも納得である。

驚きのあまり、少しばかりその場に硬直していたが、サラリーマン達から私は注目されており、とりあえず急いで一人がけのテーブル席に座った。

騒がしい店内で読書するのも躊躇われたが、このタヌキングはやりたくないことはやらないが、一度やり抜くと決めたことはやり抜く質である。

とりあえず用意しておいた村上春樹さん作の【一人称単数】をテーブルの上に置いた。

ちなみに村上春樹さんの作品を読むのは初めてである。



タヌキングが注文したのはホットコーヒー1つ。

実はこの前に蕎麦屋で天ざる、カレー屋でチキンカレーを頼んでおり、これ以上は食べるなと頭がアラートを出したのである。

それでもアイスクリームは食べたいと思ったのだが、メニューにアイスクリームは記載されておらず、ダメ元で頼んでみたが「ウチではやってないんですよ」とやはり無理だった。


コーヒーが出てきたので、ようやくコーヒーをすすりながら読書開始。

しかし、初の村上春樹さんの独特な文面に戸惑いもあり、その上先程のサラリーマン達の会話にも集中力を削がれてしまう。

あのサラリーマン達はてっきり仕事の話をしているかと思いきや、【カバネリ】【ゴジラ】【シンフォギア】という単語が飛び交っており、私はそれがパチスロの話だとすぐに気が付いた。

タヌキングはパチンコ派なのだが(スロットをやらないのは小役も7も揃えられない為)、なまじ少し知っている話なので耳を傾けてしまう。

今更ながらココは読書に向かない環境なのだと思い知らされた。


色々ありながらも、めげずに読書を続けたタヌキング。村上春樹さんの作品の面白さもようやく分かってきた頃に、バスの時間が差し迫って来たので、残ったコーヒーを一気に飲み干す。するとカップの下に残った砂糖のせいでコーヒーが妙に甘ったるかった。

「ご馳走様でした。」

外を出ると小雨が降っており、何だかどんよりとしていたが、タヌキングは良い体験が出来たと一人晴れ晴れとした気分であった。

やはり人生は面白い♪


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