少女の定義

榊たいよう

白雪姫

希死念慮。死にたいだなんていう惨めで残酷で知りたくもなかった感情を綺麗に表してほしくない。死にたい、消えたい。そんな思いとともに今日も叶わない願いを胸に部屋に閉じこもる。定位置はベットのすぐ下。寄りかかって時間が過ぎるのを待つ。

ふと部屋の隅っこに置いてある全身鏡のほうに目を向ける。腰まで伸びる黒髪は白い肌を守っていたかのようにぼさぼさだ。綺麗じゃあないなぁ、だなんて思ったりして。ただ、白雪姫の形容文でよくある「雪のように白い肌で林檎のように赤い頬と唇の美しい少女」のように私にも白い肌に映える赤い‘痣‘がある。これは兄につけられた痣だ。月と鼈どころじゃないな、鼈ですら烏滸がましいほどに私は醜い。

白雪姫は毒林檎を食べて倒れてしまったけど王子様からの接吻で目を醒ましたってのは噓で本当は白雪姫の亡骸が入った棺桶を運ぼうとした衝撃で口の中の毒林檎が出てきて目を醒ました。そんなお話を聞いたことあるけれどどちらにしよ非現実的。

だとしても、私にも王子様がいるのなら亡骸同然でも愛してくれるのなら連れ出してくれる道中で生き返らせて。生きる幸せを教えて。


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