第44話 神格化してないじゃん!
南海のルセ島で神様達と温水プールで寛いでいると、アリスが突然言った。
「あんた、神格化が進んでないわね」
「えっ? 何のこと?」
「ほら、前に言ったでしょ? 使徒になって長いし、神力沢山使ってるから神格化が進むって」アリスは真面目な顔で言った。
「ああ、子作り出来なくなるって、あれ?」
「そう。体が、だんだん仮想的な物質に変わっていくの」そうなのか。思わず手を見る。じっと手を見る。見ても分からん。
「確かに、聞いた」
「それがね。どうも、あまり変わってないのよね」
「そうね。確かに」近くに居た、イリス様も不思議そうに言った。イリス様の見立てでも同じらしい。どうも、神様には分かるようだ。
「人間のままってことですか?」
「そう、普通ならもう半神状態の筈なんだけど」とアリス。
「別に、確率とか変えてないのだ」そこにいたウリス様も不思議そうに言う。
「また、リュウジの特殊性かしら」とアリス。
「アリス、その新種みたいな言い方やめて欲しいんだが」
「だって、使徒の癖に使徒作るし。子作りも多分、まだ出来るわよ。あと一周くらい」
「一周って……」
「ほんとうですの?」セレーネ食いつき過ぎ。
「何かが、神格化を阻害しているのかしらね」とイリス様。
「ううん、でもオカシナことなんて無かったけど」
「ああ、そういえば最近、神力をあまり使ってないわよね?」アリスが思い出して言う。
「いや、街道を舗装したし、この島の施設を作ったりしたぞ。この温水プールなんて砂溶かして作ったしな。露天風呂もそうだし、砂浜の砂を熱で殺菌したし」
「なんで、砂まで殺菌してんのよ」とアリスは呆れ顔。
「まぁ、念のためだよ。念のため」
「う~ん。そこまでしたにしては神力が流れてないんだけど? 殆ど寝てるくらいよ」
「え~マジか。それはエネルギー的に……あっ」
「あっ」とミルル。
「ミルルも気が付いたか」
「うん、たぶんあれだ~」
「どれよ」とアリス。
「あ~、実は最近、珍しい現象を発見したんだ。魔石を神石の近くで使うと長持ちするという現象だ」
「何よそれ」
「魔力フォンが長持ちなのは、そのせいなんだ。神石があると、魔力の消費が少なくなる」
「神力が魔力に食われてるってこと?」とアリス。
「それだけ聞くと、そうなんだけど逆もある」
「逆?」
「うん、神力フォンも魔石があると神力の消費が少なくなる」
「え~っ。うっそ~っ」とアリス。
「うん、嘘みたいだけどホントなんだなこれが。それで神力フォンも長持ちになった」
「うん、リュウジの言う通り。私も確認したしポセリナさんも確認したよね?」とミルル。
「はい、確認しました。不思議な現象ですが、その通りです」とポセリナ。今日は、一緒に来ている。
「俺は、いつも魔石を持ち歩いてたから神力をあまり消費しなかったんじゃないかな? 神格化が遅れたのもそれが理由かも知れない」
「ホントなら、それは大発見ね。神界も大騒ぎするかも」アリスが言った。
「そうね。しかも、その話には二つの発見がありそうね」とイリス様。
「二つですか?」
「ええ。一つ目は、使徒の神格化に魔力が影響するという話。二つ目は、神力と魔力でエネルギーが発生するという話。どちらも、本当なら大発見ね」とイリス様。
「そうですね。お姉さまの言う通り」とアリス。
「まぁ、俺の神格化は俺だけの話かも知れないから発見ではあっても騒ぐ程かは分からないけど」
「そうね」とアリス。
「魔力と神力でエネルギーが生まれるって話は、これは世界を揺るがす話になるかもな」
「そうよね」とアリス。
「婿殿、それは本当かのぉ?」温水プールで水着なので、王様もいる。
「ええ、恐らく。もしかすると、これでエネルギー革命が起こるかも」
「え、エネルギー革命とは?」と王様。
「ええっと。今までは貴重な魔石しかなくて使えなかった魔力を、ふんだんに使えるようになるかもって話です」
「な、なんと! そ、それは……途方もないことじゃ」王様、あれこれと考えを巡らしているようだが、影響が大きすぎるて把握しきれないようだ。
「あ~っ、ついでだから言っちゃうけど」
「ま、まだあるの?」とアリス。
「うん。みんなも知ってるエナジーモジュールだけど。魔法共生菌使うから凍結してたけど、特効薬ができて危険が減ったので、魔力を作る装置として使ってもいいかも知れない」
「ああ。あれを使うんだ。でも、まだ危険でしょ?」とニーナ。
「うん。流石に管理が必要。だから魔石を作るためだけに使う」
「あ、結晶石から魔石を作るんだ!」とミルル。
「うん、そう。結晶石とエナジーモジュールで安価な魔石を大量に作れるかもしれない。しかも、何度もチャージ出来る」
「「「「「「「え~っ!!!!」」」」」」」
「あああ、わし、もう頭に何も入らないかも知れない。凄すぎて脳が拒否し始めた」王様、頭を抱える。
「お父様、わたくしも、もうダメです。この方が本当にわたくしの夫ですの? わたくしが妻でよろしいのかしら?」セレーネも壊れかけてる。
「姉さま。私を置いていかないで」とアルテミス。
「ここは、わらわがギャグかます流れじゃな」とリリー。
「うん、期待してる。切れのいいの頼む」
「いや、そこまで言われると出しにくいのぉ」
「ネタはあるのか?」
「ちと、さみしいかも」
「残念だ」
「ちょっと、そこの二人。二人の世界に入らない」ニーナが突っ込んでくれて良かった。
「つまり、どういうことですか?」セシルが冷静に問いただす。
「つまり、エネルギー源の魔石を安く大量に作れるってこと。で神力と一緒に使うと、さらに途方もないエネルギーに化けるってこと」
「そ、そうなんですか」とセシル。
「へぇ~っ」とニーナ。うん? この説明では分からないか。
「もう、薪いらない、木炭いらないってことになる。ついでに石炭も要らないかも」
「「「「「「「ええええええええ~っ」」」」」」」
みなさん、やっと分かって頂けたようでなによりです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます