始点

「すみません先輩」


「なーに?」


「507号室の患者さんっていつもあんな感じなんですか?」


「そーそー、コミュニケーションは一切取れないけど、自分の事は自分で出来てるからバイタルチェックと食事の時くらいしか関わらないわよ」


「それもそーなんですけど、ずっと何か書いてますよね?」


「あー、あれね。なんか昔に1冊だけ本を出版したことある作家さん?らしくて、先生曰く、自分が一番頑張ってた時を繰り返してるんじゃないかって。私がここで働き出す直前に転院してきたらしいけど、私がここに来た時からずっとあんな感じ」


「へぇー、そーなんですねぇ。なんて本なんだろ?」


「うーん確か[いつか君が愛した僕へ]だったかな?違ったかな?そんな事より患者さんのプライベートの話ししてると師長に怒られるよ!」


「はーい」


 ……


 続く。

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