変わりゆく君へ
とある休日の話し。
久しぶりに顔を合わせる友人と食事の約束をしていた。会うのは確か大学卒業以来になるのかな、学生時代は仲が良くてしょっちゅう一緒に居たのになあ。社会人になって生活圏が変わると途端に会う機会が無くなった。それでも比較的マメに連絡は取っていたが、それも次第に頻度は少なくなる。属するコミュニティが変わればそんなものだな、と思う。ただ学生時代の方が自由があった。今の方がお金も有るし、時間の成約だって大きくは変わらない。なのに今の方が窮屈に生きているような気がする。これが大人になると言うことなら、大人とは寂しい生き物だな、なんて思いながら待ち合わせの駅前に着いた。
今着いたよー
もう居る?
居る居る
ホログラムの広告の横!
合流して、久しぶりー、とか、元気だったー、なんてテンプレートのやり取りをひとしきりした後に、どこでご飯にしよっかー、と、とりあえず繋ぎでカフェに入る。
アイスコーヒーを受け取り席に着く。
こんなに会ってなくても大して話すこと思いつかないもんだな。少しの気まずさを感じた。昔は無言でも居心地良かったのになんでなのかな。
友達はマップアプリで高評価の飲食店を探している。時折、ねえねえここどう。と画面を見せてくれるがなんだかどこでもいい気がした。
お互いに目をみて話すことはそんなになくて、この動画がねー、とか、このアプリめっちゃ便利だよ、とか画面を見ている時間の方が長い。
別に悪いことではないが、違和感。
目的地を決め街を歩く。
あっ、猫さんいるよー。親子かな。
それにしても街がどんなに綺麗になっても野良猫減らないよねー。
友達が言った。
きっと何も考えないで言ったことだとは理解している。それでも、野良猫自体が悪者の様に言っている風に聞こえてしまう。
違うそうじゃない。悪いのは最後まで面倒を見ない人間だよ。
なんて言えるわけもなく、黙ってやり過ごした。
友達が子供のままなのか、自分が大人になってしまったのか。
モヤモヤした日になってしまった。
こんなにも酷く冷めた人間なのに、それでもどこかで、誰かと、何かと、繋がっていたいなんて思ってしまうのはわがままなのだろか。
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