男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)

@aozora

第一章 男女比世界へようこそ

第1話 これがラノベでよく見たあれか…。

はじめて違和感に気が付いたのは幼稚園の頃だっただろうか。


やけに女の子が多いような?


ユリ組の教室でお昼のお弁当を食べているとき、周りを囲むのは決まって女の子。

別に大して気にもしなかったと言うよりそれが当たり前だったんだが、おままごとでなぜか僕をめぐって取り合いになっていた。そんな騒ぎも年中さんの6月に入園してきたひろし君の登場でピタッと収まったんだけどね。


子供心にカッコイイと思ったもんだ。

ひろし君は幼稚園中の女の子から大人気。

お友達のお母さんたちから幼稚園の先生方まで、みんなひろし君に夢中だった。


そんな中、僕はと言えば同じく蚊帳の外にされたバラ組のこうた君と泥団子作りに心血を注いでいた。コツはしっかり陰干しをしてカチンカチンにしてから布地で磨くこと。乾燥が甘いとぼろっと崩れて悔しい思いをするんだよね。

こうた君の職人技にはかなわなかったけど。泥団子なのになんであんなに光沢が出るんだろう、まさに匠の技、一生ついていきます師匠。


そんなんで女の子から解放された僕たちは楽しく幼稚園時代を過ごさせていただきました。ありがとうひろし君、たまにみせるニヤケ面もこちらを見下すような上から目線も、全部が宝物だよ。


小学校にあがってからもひろし君の人気は衰えることを知らなかった。

一年生の初めての教室にドキドキしていたあの頃、隣の席に座ったポニテのかわいい女の子から「同じクラスに成れてうれしい!!ずっと仲良くしてね♪」と言われた翌日、彼女はひろし君のクラスに突貫かましてたな~。

ため息つきながら「なんでひろし君と同じクラスじゃないのよ。」ってつぶやくのはいいけど、こっちをジト目で見てから机に突っ伏すのはどうかと思うよ。

クラス分けは僕のせいじゃないからね。


でもこのクラスも女の子が多いんだよね、というか男子が少ない?

クラスメート40人中男子が5人。一年生全部で3クラスあるけど、女子105人に対して男子15人。1:7っておかしくない?

夕飯の時にお母さんに聞いたら今はそれが普通って教えてくれた。

クラス担任の美穂先生にも質問したんだけど、昔は結婚出来ずに独身で終える女性もいて結果的に1:3の男女比だったんだけど、医学が進んで体外受精?ってのが出来るようになってから、独身での出産人口が増えて今みたいになったんだって。

難しい言葉でよく解らなかったんだけど、「先生も独身?」って聞いたら引き攣った笑顔で歯ぎしりしていたからこれ以上聞けなかったんだよ。


隣のクラスに成っちゃったこうた君に教えてあげたら「君は相変わらずだね。」って優しい目で見られたんだけどなんでだろう。

こうた君曰く、結婚したおうちには<お父さん>と呼ばれる大人の男の人がいるんだって。僕見たことないんだけど。

こうた君はテレビで見たことがあるって言っていた。さすが師匠、物知りでいらっしゃる。


お母さんにも聞こうと思ったんだけど、結婚って言っただけなのに夕ご飯も作らずにビール飲み始めちゃったんだよね。時々「男がなんだ!!そんなに胸が重要かー!!」って叫んでたけど、昔なんかあったのかな?それよりお腹すいたんだけど…


学校生活はそれなりに楽しいよ。

クラスの女の子どころか上の学年のお姉さんたち、先生方からPTAのお母さんたちに至るまで、すべてを魅了するひろし君のおかげで僕たち男子は結構自由にやらせていただいております。

最近のブームは増殖型鬼ごっこ。

鬼に捕まると自分も鬼になる鬼畜使用、最後の一人はほとんどバイ○ハザード状態で追いかけられる始末。始めた頃は大人しかった上の学年のお兄さんたちも、最近じゃなまはげみたいに追いかけてくるんだよね、超怖いんだけど。ま、元気なことは良いことです。

ところでバ○オハザードって何だろう?

僕って時々こんな事あるような?


なんやかんやで楽しく過ごしていた小学校5年生の夏休み。

こうた君とどっちが先にかき氷を完食できるか競争して、後頭部のキーンって痛みにのたうち回っていた時、不意に思ったんだよね。


あれ、俺って転生したんじゃね?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る