第137話 海軍伝習所と(陸軍調練所)
永禄九年 九月 小佐々城
永禄五年四月に小規模ながら設立した海軍伝習所の、修学を終えた第一期生が三月に卒業した。なお初期の伝習生は、小佐々水軍、深堀水軍、そして松浦水軍のなかから選抜している。
教員は以下の通り。
フランシスコ・デ・アルメイダ 校長(航海術・砲術)
・・・あの人の、玄孫
バルトロメウ・ディアス 副校長(運用術・航海術)
・・・あの人の、玄孫
ペロ・ディアス(砲術・運用術)
アティリオ・モレイラ(測量術・造船学)
フェリペ・シケイラ(医学・語学)
ラフィーニャ・ラモス(医学・語学)
レオネル・ゴウヴェイア(船具学・操船術)
シリアコ・デリマ(船具学・操船術)
グラシアーノ・ロシャ(造船学・測量術)
在籍の時期はまちまちだが、元軍人であったり冒険者であったり、商人もいた。前職は様々だ。アルメイダとディアスは、どこかで聞いた事あるなあ、と思ったら、大航海時代の立役者ではありませんか!
マゼランやコロンブスほどではないにしろ、かなりの功績を残した人。ただ、四世代も前の栄光は、長くは続かない。家は没落して、二人とも親を早くになくして苦学して海軍に入ったらしい。野心は満々だ。
ちなみにアルメイダは陸軍教官のアルブケルケとは犬猿の仲らしい。高祖父もそうだったのにね。この教員達には十分すぎるほどの報酬を与え、知行も与えた。ポルトガルに帰ったら一財産だ。いや、二財産か三財産以上はあるな。
船の構造も違えば操船方法も違う。大砲の扱いや学ばねばならない事もたくさんあったろう。実戦配備が早かったので、航海術や操船術、砲術など、より実践的な講義を優先せざるを得なかった。
よって伝習者は実戦経験者(水軍出身で各戦役に従軍)と未経験者が混在している。
計百二十八名が伝習を受けた。内訳は松浦郡十六名・彼杵郡四十七名・佐賀郡五名・杵島郡十五名・高来郡二十八名・神埼郡十二名・藤津郡4名・小城郡一名だ。肥前国内で主に士分から希望者を募り入校させた。これは純粋な水軍選抜枠(従軍者)ではない。
練習艦三隻が就役したので、処女航海と練習航海を行う。薩摩、琉球と渡り台湾、フィリピン、マカオ、カンボジア、ブルネイ、インドネシア、マレーシアなどを探検航海させる。一年ごとに卒業生を乗せて航海する予定だ。
外交文書はまだまだ。あっても『肥前王からの親書』?程度。
本当ならガツガツいきたいところだが、東南アジアはポルトガルとスペインが跋扈している。下手に動けば外交問題?になる。要するに、俺たちはあなたたちの利権は奪いませんよ!とアピールしなくちゃいけない。
非常に面倒だが、豊臣秀吉みたいに全国統一はしていない。していたとしても戦争は絶対に避けなくちゃいけない。
ポルトガルはマカオに、そしてスペインはフィリピンに本拠地を構えて、三角貿易するはずだから、そこに食い込むような事をしなければ、なんとかなるか。いずれにしても様子見をしならがやろう。
国内航路の開拓に関しては、第一~第三艦隊を順次あてよう。
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