第20話 5月



 5月、悠理が送ったメールから返信があり、L町に二村美希がバスに乗って到着した。二村美希はとても背が低く、可愛らしい女性だった。

  

 美希はL町に着くと、Z海バスの切符売り場の周りをうろうろした。

 しかし、すぐに国道向かいのコンビニに気づき、2Fのレンタルビデオ店に歩いて行った。

 

「悠理ちゃん」美希が言った。

「美希、久しぶり」悠理が言った。

 美希は悠理との再会を喜んだが、周囲を見回して恐縮した。

「美希、気にしなくていいよ、この時間誰も店に来ないから」悠理は言った。

「そう?」美希が言った。

 美希は悠理との再会を喜んだが、レンタルビデオ店の店員をしていることを意外と話した。

「そうなの?」悠理は言った。

「だって、悠理ちゃんが接客業なんてできるのかなって」美希は笑顔で言った。

 悠理は今日どこに泊まるのかと聞くと、美希はL荘に泊まると答えた。

 悠理は明日休みを取ったので、朝から一緒にいようと話した。


「でも大丈夫、美希?」と悠理は言った。

「大丈夫だよ」美希は言った。



 翌朝、L荘で悠理は美希と朝食を取り、L海岸を二人で歩いた。

 そこから町に戻り、A大橋を歩いた。

「美希、この橋が「つばさ」って映画で牧田里沙が歩く橋、それで向こうに見えるのが「愛を叫んで」で、綾見はるきと山中孝由紀が歩く橋よ」悠理は言った。

 「こんなに近いんだね」美希は言った。

 

 悠理は美希は歩きながらお喋りをし、海岸線を歩いてC浜海岸に向かった。

「悠理ちゃんはなんで会社を辞めてL町で働いてるの?」美希は聞いた。

「海が見える場所で田舎暮らしがしたくなっただけよ、それに会社は辞めてないよ」 

 悠理は言った。

「え?、辞めてないの?」美希は言った。

「そう、休職中にしてる」悠理は言った。

「じゃ、戻ってくるんだ」美希は笑顔で言った。

「どうしよっか」悠理は言った。

 

 悠理は美希はC浜海岸を歩いた。

「美希、「つばさ」って映画は、L町が舞台なんだけど、M町の海って、テトラポッドがあるでしょ?、だから海岸はL町なんだけど海はこっちのC浜海岸の海なんだよ」

「そうなんだ、たしかに海はこっちの方が素敵だね」

 悠理は美希はO浜の海岸で時間を過ごした。足元には爽やかな朝顔が咲いていた。


 悠理は美希とW温泉にバスで移動し、マリン・クルーズに乗船した。

 クルーズ船は海の洞窟を進んで行き、天窓洞からは太陽の陽が降り注いだ。洞窟を抜けると美しい海の遥か先に富士の山が見えた。


 「悠理ちゃん!、すごく素敵!」美希ははしゃいで言った。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る