西のうみのまち
mizuno(冬木柊)
第1話 9月
悠理がG郡L町を訪れたのは夏が終わった9月だった。
L町へは、JRのD駅からバスしか交通手段がない。
悠理は、D駅で特急バスの切符を買いバスに乗った。他に乗客は2組3人だった。
バスは伊豆の中心から西に向かい、海岸線を走る。
海岸はこの地域独特の地形で、山があって山が海に削られ崖となり海へと臨む。
わずかに砂浜となった場所には漁村があった。
海は美しく砂浜も綺麗だった。
なにより海へと臨む崖が壮麗で湘南や江ノ島とは比較の対象にならなかった。
バスは、G郡L町に到着した。
結局、乗客は伊豆の中継の駅からも乗車はなく、乗客は2組3人のままだった。
他の乗客はZ海バスの切符売り場に向かったので、悠理もついて行った。
切符売り場では若い女性の職員と男性の職員が切符を販売していた。
若い女性の職員は美人そうであったが、悠理ほどではない。
9月の季節であるのにマスクをつけていた。
「なにか?」
と、悠理は聞かれ、
「ここがL町ですよね?」と、悠理が言うと、
「そうです」
と、言われた。
悠理は切符売り場を出て、周囲を見渡した。
目の前はコンビニ、道の向こうは銀行と郵便局。反対側は農協。
こんななにもないところが町の中心地なのか?、
それでもここまで、N温泉、西U、W温泉、西Y町と
小さな海沿いの町をバスでずっと見てきたので、そうなのだろうと悠理は思った。
町は背の低い建物ばかり、Z海バスの切符売り場をはじめ、
2階建ての民家が一番背が高く、悠理が本日宿泊するL荘もすぐにわかった。
この町にはホテルがふたつしかないのだ。
悠理はL荘の方に向かって歩くと5分もしないくらいで海に出た。
波は強く、砂浜は綺麗だった。ただ、汐の匂いは悠理は感じなかった。
綺麗な海では汐の匂いなどはしないのだ。
悠理はチェックインを済ませ、部屋で荷物を解き、整理した後、ぼうっとした。
その後、2時になり、6Fの温泉につかった。
6Fの温泉からはL町の海がよく見えた。窓ガラス越しが残念だが。
その後、悠理は町を歩いた。
悠理は町を歩くとこの町が想像していた以上に、目に見える以上に小さなことがわかった。
悠理はZ海バスの切符売り場に戻り、国道を渡り、
コンビニで夕食用にから揚げ弁当とチョコレートとお茶と缶コーヒーを買った。
コンビニを出て、よくよくこの建物を見ると2Fがレンタルビデオ店となっていた。
悠理は国道沿いを歩いたが、驚くほどに店がなかった。
コーヒーショップもファミーリーレストランもなかった。あるのはパチンコ屋くらい。
そこから歩くと地元のお土産屋とドライブ客向けの和食レストランがあった。
ただ、なぜかコインランドリーがあり、中をのぞいた。
最新の乾燥機ばかりで、洗濯機と一体型のものもあった。洗濯機単体はなかった。
これに悠理は安心を感じたが、洗濯機と一体型のものは1回600円となり、
価格設定が高いと悠理は感じた。これはなんでだろうと考えたが、
周囲の民宿が目に留まり、海水浴客向けのものなのだと考えた。
国道の先まで行くと、左手の方向に見慣れた看板が見えた。
マックスバリュだった。
悠理はマックスバリュに入るとずいぶんと薄暗く、ローカルさを感じた。
よくあるマックスバリュらしさはなかった。
キャッシュディスペンサーは、東京三菱UFJはなく、
系列のイオン銀行のみだった。悠理はお金を100000円おろし、
袋詰めの洗濯剤とブラジャー、ショーツ、靴下、ストッキングを買った。
悠理はL荘に戻った。買い物も終わり、時間も自由になったので海を見に行った。
海は、L荘から歩いて0分の場所。
悠理は海を見ながらL海岸を歩いた。10分で端にたどり着き、
砂浜から町に戻った。町を少し歩くと海に注ぐ河岸にたどり着いた。
右を向くと漁協があり、その先に防波堤があった。
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