コーヒー店と決意 本編
外で曲作りがしたい
そう思うようになったのはこの春、東京に上京したことが何よりの要因であろう。
街並みが賑やかで刺激で溢れまくる都心での生活はいろんなものに目が行き、いろんなことを感じれて、次々と曲のアイディアが湧くようになった。だから家の中でなく、街を歩いてどこか座れる場所で刺激に囲まれる中曲を作りたいと思った。
なんかいいところはないかなぁ、とネットで検索してみて出てきたのは、Wi-Fiが通り、充電できる近くの店一覧というサイトだった。
スターバックスやドトールなどのコーヒーショップやマクドナルドなどのファーストフード店が紹介されていた。
「おっほーめっちゃええやんちゃんっ」
なんかIQ3になっているのは置いておいて、ファーストフードの店は何回も行ったことはあるが、コーヒー店はあまり行ったことないなぁと思い、スタバかドトールに行こうかなぁ、と思った。
休日、早速行ってみようと思い、パソコンとヘッドフォン、充電器を持ちコーヒー店へ向かった。通う道にも高い建物が並んでいてそれだけでも自分はテンションが上がってしまう、鼻歌が止まらない。
そんなことを考えていたらドトールの前についていた。
なーーんか。
入るの怖え。
陰キャというか、インドア極まりの性質なのだろうか。おしゃれな人やキッチリしている人の中に混ざり込むのがなんか怖い。光っていうかオーラっていうのが見えるんだよね。
いや、かくいう俺も社会人になり、今もインドアといえどちゃんと外に出る機会も格段に跳ね上がったし。いくぞ俺は。行くぞォォォ!!
「お待たせしました〜牛丼並盛です」
ふァァァァァ食欲がそそられるぅぅぅぅ
このスピード感が好きなんだよね。注文してからTwitterをつついてたらいつの間にか......
はぁ、、、、自己肯定が凄い。
結局隣にあった吉野家に足を運んだ。
友達とであれば何度もスタバに行ったことはあるのだが、1人で行くとなると話は別で、周りの人から「複数人」で見られるのと「一人」で見られるのとではやっぱ心の持ちようが変わってしまう。
変なとこで繊細やなって思われても仕方ない。
でも、結局心の持ちようということに問題は変わりなく、今自分がドトールのドアを開ければ良いのだ。店はサービスを提供しているのであり、繁盛を求めているのだから行くべきだ。
牛丼をかきこみ、そう決意した。
俺はぁぁ行くんだァァァ、行くんだァァァァァ
「こちらお買い得商品になっております〜!」
えっ!?シャンプー安ッッッッ!!!
定価700円の所280円!?!?!?
お得っていうレベルじゃねぇぞ!!!
、、、、、、、
いや脱線ってレベルじゃねぇな。
もはや飲食店ですらねぇわ。
しかも遠っ。最初行こうとしていたドトールから7分くらい離れた場所にあるアウトレットショップに来ていた。
「ケツイを、、、、ケツイを力に変えろ!!」
UNDERTALEにあるようなセリフを頭の中で繰り返すもオーラというものに圧迫されてしまう自分がいる。どうも心が貧弱らしい。
帰ろう。充電なら家でできるし、WiFiも問題なく通っている。刺激なら歩くだけで充分感じた。性分というのは変えようにも簡単には変えられない。帰路をゆく途中、路上ライブをしている二人組を見かけた。ボーカルとアコギという編成でカバーを披露していた。
必死そうで、それでいて楽しそうで、素通りしていく人々の中、徐々にポツポツ足を止める人達が出てきて、最後の曲の途中急にアコギが止まったかと思いきや指から出血をしており、周りの人々が駆け寄って手当をして、路上ライブは中止となった。
胸が熱い。頬が熱い。扉を開けられない自分が情けない。正解なんてない音楽で周りを楽しませようとしている一方、目的地が目の前にあるのにオーラだのなんだのを理由に自ら遠ざかる自分はなんなのか。気持ち悪い。
もう終わりだ。陰キャだの引きこもりだのどう思われてもいい。
ケツイがみなぎった。
「いらっしゃいませ〜。」
いい匂い、空気が変わる。
少し違う世界に来たような感じがする。
カフェモカを頼み、充電できる席に座る。
長かった、でも一瞬だった。行動に移せばこんなにもあっという間で単純なことだった。
さーって、曲つくろーかなー。。。
そう思うとメガネをかけたオシャレな人が隣に座った。
おぉうっ。光って見える。でも押されないぞ...俺はここで音楽を作るんや。作るんや!!
彼はパソコンを開き、作業を始めた。
何をしているんだろうと、少し申し訳ないが画面を覗いて見たら小説を書いていた。
形は違えど自分と同じ創作者であった。「同じ」だった。あれほど周りを気にしていた自分は一体なんだったのか。
歳をとるほど時間が経つのが早く感じるというものがあるが、今日は格別に早く感じた。
コーヒー店と決意 Raivi @raivi0316
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