第69話 やっちゃないよッ! そこのワンコッ!
全天が闇しかない異空間をひたすらに落ち続ける
「ふぅ………。やれやれだな、しかし二人共良くやってくれた」
「いや、それよりもこのままじゃ三人一緒に共倒れですよ?
此方は異空間の闇に沈められた側、シアン達三人である。
沈められる絶望の
腰にもやい結びで
何処に繋がっているか判らないこの場所は、例え同時に落ちたとしても合流出来る可能性は限りなくゼロに等しい。
ここら辺の連携は、
けれども水も空気すらもないこの空間で、何故この三人は会話が成り立っているのか?
それは出撃前にミリアが
今でこそミリア自身が守備系魔法を攻撃に転換しているのが目立つが、これが本来の使い道に
「このままじゃどのみち魔法の効力が切れたらお終いです。それにせっかく
「そ、それについては
「へっへっへ、外に通じる命綱。
レイチの
「…………成程、お
「まあ、ぶっちゃけ近接戦闘じゃ出来ることがないから頭が回ったんだけどねっ。じゃあ時間もないし、いっくよぉぉ!」
喜びに
テヘッと舌を出してから、ニイナが早速その
◇
「ドラゴ・スケーラ、
リンネの
「おおっ!? 何故我にこの結界を?」
(………ミリアっ、良かった、
本来なら術者本人だけが対象であるこの魔法を、マーダに
先ずその魔法技術に驚かされるのだが、敵にまで
「………解放せよっ、我等を
空で戦っている連中の驚きを
「マーダ……で、良かったかしらこの泥棒野郎ッ! その結界は言うまでもなくお前を守るためのものじゃなくてよッ! ちょっと触れただけでも無傷じゃ済まなくてよッ!」
「………ミ・リ・ア!?」
「み、ミリア……さん?
敬語はおろか、マーダに向けて汚い言葉を吐き捨てるミリア。一番後方にいるアズールすら耳を
「さあっ、皆早く仕掛けなさいッ! でないとまた私が一人でやっちゃうよッ!」
「そ、そうは言うがお前の
「良いからやっちゃいないよッ!
「わ、ワォォォオンッ!!」
これはどうしたことだろう。マーダを守る筈のベスタクガナが全く機能しない。
マーダは首を鎖で
「ウグッ!? これはイカサマか?
「いいえ、そんなことはなくてよ。
遂に仲間達と合流を果たしたミリアが、両腕を組んで見下した態度で告げる。
鎖を
「さぞ
ヴァイロの宣言を皮切りに、ノヴァンは
リンネは高周波の声で全身を機能不全にし、ミリアが右の手刀に
マーダに対する
首を絞められているので、痛みの声すら上げる
「ゲレラ・コンゲレイト・コールド………」
ヴァイロからあの
「……おおっ
その立ち姿、まるで別人のようであるが、彼に決闘を挑んだ者だけは見覚えがあると自覚する。
リンネ、ミリア、アズール、そしてドラゴンであるノヴァンすら感じる
「さあ、
最初から最後まで冷たい口調を変えぬまま、ヴァイロは
魔法の素人でも彼が
ただただ
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