第62話 新月の裏の裏
ニイナが扱う攻撃魔法の中で最上位クラスと言っても過言ではない
多数の友軍を消し去った憎むべき輝きが、ほとばしりながら
果たして彼女は
シアン、レイチは、稲妻の中を
いくらレイチが
レイシャの新月の刃もどうかしているが、相手側も
「フフッ! 見事っ!」
「なっ………よ、読んで……違うっ! 私達は呼び込まれたのかっ!」
「…………っ!」
光の矢の如しな槍の突きをレイシャの頭部目掛けて繰り出したシアンと、二刀のナイフをレイシャの
二人共、文字通りの
シアンの方は、十字にしたレイシャの二刀に
特に賢士の止め方が実にえぐい。レイシャの美しいロングブロンドの髪を後ろから
「なんて
後ろにいたのはあくまで賢士。レイシャのような剣士ではない。しかし目の色と衣服が賢士である以外は、まるで瓜二つの存在だ。
レイチを
ただ後者の発するその声色だけが瓜二つの割には、何やら異質である。
「ふ、双子だとっ!?」
あのシアンが
「フフフッ………改めまして修道騎士レイシャ・グエディエル
「初めまして……というべきでしょうか。賢士レイジ・グエディエルです」
シグノの背の上に
「そ、そういうカラクリか。お前達は、二人合わせて本来なのだな………」
声を
そこに弟、賢士のレイジの方が自身の知恵の実を惜しげもなく預けることで二人
姉が
「ですね……ただ僕は、
「似ているのは
「成程……。しかし回復役の司祭は連れていないのだな。それに射程範囲200mを殺しても良かったのか?」
「私はね、剣士としてアンタに一目置いているんだ。新月の刃は、これ以上邪魔者を近づけないために使うだけ。あと命を削りあう争いに
レイシャもそれでこそ
まるで剣で語り合うことを楽しんでいるかのような二人。現実はその全ての一振りが死神の鎌のごとき一撃必殺なのだ。
―レイチ、ニイナ……。
「…………」
―判ってる、了解だよシアン。
そんな緊張感の
レイチは何も語らず動じず、ニイナの方は風の精霊術である
レイシャとレイジ、二人が揃い踏みで
◇
「
「良かろうっ! 受けて立つ!」
その頃最強の賢士ルオラは、リンネ達を一人で相手取っていた。いかにも一番弱そうなコボルトのカネランを最初に斬るつもりであった。
ところがそのカネランの方から、
いよいよ
彼女は周知の通り、風の精霊術や
それにも関わらず見事な
自由落下の方が速いと思われるカネランと、大差ない勢いで迫り来る。
「フンッ!」
「なんなのそのふざけた得物は?」
なれどカネランは、ルオラが間合いに入るより前に、失った筈の右腕に埋め込んだ何かを振り下ろす。
それは鎖であり、その先には槍のように
ルオラの目算では届く筈のなかったソレは、なんと大きく弧を描いて彼女の背後から迫って来たのである。
「こ、こんなものでっ!」
まさかこの状況を想定していた? 流石にそれはないのだが、ルオラは跳ねる際にそのしなやかな身体に捻りを加えていた。
結果、幸運にも背中で受ける筈だった鎖を左腕の
「や、やるっ! だが俺の魂の鎖は決して終わらぬっ!」
「た、魂の鎖……だと!? グハッ!」
千切られたかに見えたその鎖は瞬時に再生すると、蛇がとぐろを巻くようにルオラの腹に巻き付いて締め上げたのだ。
「カハッ……こ、これは一体何の悪ふざけなの?」
「美女を鎖で
捉えたルオラを足蹴にして、自分はノヴァンの背に戻るカネラン。
「この鎖はな、洞窟で貴様と同じ賢士から受けた
「ば、馬鹿なっ……」
己の新たな力を
自分より神聖力の低い賢士であろうとも、一度相手を拘束した
(
その様子を見ていた
一番弟子であり、身体すら許す
(不完全な扉の力を持つ
この心の声は、明らかに
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