第13話 賢士ルオラ
上空から様子を見ていたヴァイロから
「大丈夫かっ、ミリアは!」
それに大してアギドとアズールが
ミリアがとても申し訳なさそうな顔をする。
その様子にヴァイロは胸を
まるで
「に、してもルオラ。
エディウスはそんな視線を意に返さず、ルオラに話しかける。
「あら
「な、何と
ルオラも同様に気に止めずに、エディウスへ
なれど
彼女の
要は罪深き者ほど、きつく縛りあげるという事だ。
ルオラは美しい大人の女だが、シレッと虫でも潰すかの様な気軽さで、ミリアを殺そうとした事が
「お前達、今日相手をしたいのはこの俺と『ノヴァン』の筈だっ!」
「……?」
「の、ノヴァン?」
どうやら呼ばれたらしい黒き竜と、
「ああ、今決めた。お前の名前はノヴァンだ」
「おっ、おぅ……」
そのまま怒りに
リンネはヴァイロの天然ぶりを良く
「なんだ? 貴様は乗らないのか?」
「俺は自分の力で跳べるから不要だ。それよりも乗せている
「フンッ……」
ヴァイロはいつの間やら
この大剣、一体
「ラァァァァァァッ!!」
突然リンネが全く
「こ、これは
「しかもこれだけの声なのに相手を選んで浴びせるというの!?」
耳は塞いだが既に手遅れ。エディウスは酷い吐き気を覚え、ルオラは頭痛とめまいを感じていた。
「こ、この小娘めっ! デエオ・ラーマ、
ルオラは苦しみながらも、以前エディウスも使った言葉の刃の術をリンネに向ける。
リンネは他の
「『
リンネがそう告げると彼女の上から、水の
「クッ! やってくれるっ!」
(ほぅ……)
ルオラは明らかに
そしてさらに二人を
ノヴァンはドラゴンらしく、
「る、ルオラっ!」
「デエオ・ラーマ、
リンネの周囲にあった旋風が勢いを増し、嵐に変化する。リンネを
エディウスはノヴァンの炎を見て、瞬時にこれは自分の竜、シグノのブレスでは
さらにルオラ自身、先程リンネを
リンネを襲った方がむしろ
(この
シグノの炎に比べればこれでも充分に
「ギャアアアアアッ!」
これはノヴァンの
(フッ…またこの間に他の者が詠唱をするのであろう?)
「
赤い霧の中から詠唱の声がする。しかし実際の所、エディウスとルオラには聴こえてはいない。
「
「クッソ、まさか剣と魔法の同時攻撃を。しかも狙いは後ろの女にしたってのに!」
「最後の
ヴァイロの魔法アティジルドは、剣の
彼の場合、赤い霧をその刃に変化させ飛ばすと同時に、その背後に隠れて実体化させたレッド・ミラージュも叩き込むという二段構え。
しかも本命であるエディウスを襲ったら、向こうがたまたま剣や盾をかざしてきたら、防がれてしまうので、あえて取り巻きのルオラを標的にした。
なれどエディウスは自らの背後という、一番守りづらい場所だというのに音速で反応して、ルオラの目前で斬り
「デエオ・ラーマ、
「ウッ! ウグッ!?」
未だ相手を舐めていたルオラの表情が、怒りで目も口も吊り上がる。ヴァイロが心臓の辺りを押さえて苦しみ始める。
「おのれ……よくもこの私を守らせるために、愛するエディーを動かしたな……。貴様、楽には殺さんぞ。自らの心の不安にジワジワと苦しんでから
口調すら完全に変わり、まるで男の様な怒りを告げるルオラであった。
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