夢と現実の住人

ずんどこたろう

☀︎1話 僕の不思議

 僕はトラウム。魔法学園に通う15歳の少年。特に身分が高いわけでもないし特技があるわけでもないから成績としてはかなり下の方である。

 でも、僕には一つ他の人と違うことがある。それは寝ている時に能力が上がることがあるということ。しかしこれは不思議なことに毎日変動があるわけではない。毎日変わっていたら今頃僕は何かしらで学園一になれたのではないかと思う。まあ、そんなに世の中うまくいかないということなのだろう。

 今日も今日とて僕は寮から学園へ向かう。

「おーい。トラウムー。元気してるー。また筋肉ついたんじゃないー。」

 朝からこんなにうるさい金髪の少女はラム。いつも朝からうるさいが面白い奴だから毎日一緒に登校している。こう見えて下級貴族の娘らしい。

「おはよう。君は元気そうだね。」

「んー。いい筋肉をしているねー。触ってもいい?」

「ダメだろ。というか僕に筋肉はあんまりないだろ。」

「いやいやー。出会った時はすごく細かったけど、今では肉付きも良くなって。」

「言い方がなんかやだ。」

 ラムが大きく笑った。まあこんな感じでバカしながら登校しているとあっという間に学校に着く。

「一時間目は魔法の授業だって。」

「やった!魔法だ魔法の授業だ!」

「君は本当に実技授業が好きだな。座学にもその熱があったらもっと上のクラスにもいけただろうな。」

「トラウム君は座学も聞けて偉いよねー。私なんか耳から入って耳から抜けていくからね。」

「それは僕が偉いんじゃなくてラムがポンコツなんだよ。いつも後から教える僕の気にもなってくれ。」

「いーつもありがとね。トラウム講座の方がわかりやすくて授業を聞く気にもならないのよね。」

「はぁー。まあもう授業始まるからな静かにしろよ。」

「はーい。」

 今日は魔法をコントロールして曲げたり加速させたりすることを実習するらしい。

「新しい魔法じゃないなら私得意よ!

ファイヤーボール!」

 ラムの放った赤い炎が真っ直ぐ飛んでいってから急カーブして的に当たった。あんなに曲げて当てることができているのはこのクラスではラムぐらいしかいない。

 僕は曲げることは少ししかできないが同じくらいの歳の子供よりちょっとだけ多い魔力で急加速させることはできた。

「トラウム君やっぱ魔力多いよね羨ましい。私はそんなに加速はできないよ。」

「ラムは魔法のセンスがあるんだからシンプルな魔法を使い続けて魔力増やせばいいんじゃないか?」

「それじゃつまらないよ。もっと難しい魔法に挑まなきゃ面白くない。そういえば確か君は寝て起きたら能力が上がっていることがあるんだよねもしかして寝てる間に魔法使い続けてるんじゃない。私にもそれ欲しいな。」

「君はコツコツと努力しなさい。さあ教室に行くぞ。次の時間は…」

「昼寝の時間!」

「違うぞ。歴史だな。起きてろよ。最近は僕が君の保護者みたいに思われて僕も怒られてるからやめてくれよ。」

「はーい。」

 その後やはりラムは寝ていたので僕も怒られた。まあラムとの学園生活はなんだかんだいって楽しいものだ。あっという間に一日が終わる。

「それじゃーまた明日!」

 ラムと別れ寮に戻る。学校は疲れるので後はご飯食べて寝るだけ。そんな毎日をおくっていた。

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